(旧版)ED診療ガイドライン 2012年版
4
EDのリスクファクター
1
加齢
EDの有病率は加齢に伴って上昇する。その原因としては,加齢に伴う陰茎の組織学的変化,内分泌環境の変化のほか,種々のリスクファクターの増加が考えられる。
MMAS1)でも日本人での調査2)でも,加齢とともにEDの有病率は上昇している(図1)。また,289名の日本人と2,115名のアメリカ人の地域住民を対象とした疫学調査でも,日本人のほうが性機能の低下が著しく,70代では71% が中等度ないし完全EDであると報告されている3)。また,わが国の企業従事者とその家族に対する調査でも,加齢によりEDの有病率の上昇がみられた4)。さらに,国内で慢性疾患のため通院中の患者4,609名を対象とした調査と5),2,084名の人間ドックのデータを解析した調査によっても,同様の結果であった6)。加齢によるEDの原因としては,動脈硬化による流入動脈血流量の低下,陰茎海綿体白膜の弾性線維の減少などの組織学的変化と,結果として起きる静脈流出系の閉鎖機能の低下7),血清男性ホルモン濃度の低下8)に加えて,後述する種々のリスクファクターが加齢とともに増加することによると考えられている9)。
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