EBMに基づく尿失禁診療ガイドライン

 
II 尿失禁の基礎知識
尿失禁の基礎知識

1. 疫学

尿失禁についての本格的な疫学調査はわが国では行われておらず、正確な罹患率は不明であるが、今回のガイドラインの対象となる女性、および高齢者の尿失禁については1986年頃から、いくつかの尿失禁罹患率の調査、報告が行われている。高齢者の尿失禁については、一般に在宅者の10%、病院・老人施設入所者については50%に尿失禁がみられると報告され、わが国では1993年時点で約400万人の尿失禁罹患者がいるといわれているが1)、急速に高齢化社会化が進むわが国においては、50年後には約1,000万人の高齢者が尿失禁を有すると推計される。高齢者では切迫性尿失禁の割合が多く、年齢が高いほど尿失禁頻度は増加する。女性尿失禁については、種々の対象群において罹患率が報告されている。尿失禁以外は健康な女性における尿失禁罹患率は、10〜46%と報告されており2,3,4,5)、腹圧性尿失禁の方が切迫性尿失禁より多いが、年齢が高くなるにつれて切迫性尿失禁の頻度が多くなる。わが国では、混合型尿失禁は20%程度にみられる。
 
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