Mindsからの提言   希少疾患など、エビデンスが少ない領域での診療ガイドライン作成

EBM普及推進事業 (Minds)
2016 年 7 月 12 日  掲載
本稿はMindsから診療ガイドライン作成関係者に向けた『Minds診療ガイドライン作成マニュアル』に関連した提言・メッセージです。
厚生労働省は、患者数が少ない希少疾患を指定難病として重点的に研究を進めている(平成26年難病法)。その一環として希少疾患の診療ガイドラインが作成されているが、信頼できるエビデンスが乏しいため科学的根拠に基づいて推奨を提示できないことが多い。疾患定義、診断基準が明確になっていない場合には、診療ガイドラインの作成は困難であるが、病気と闘っている患者・家族のためにも、限られたエビデンスを集約し、最善の方針を提示することが望まれる。
海外ではGRADEワーキンググループなども関わって希少疾患に対する診療ガイドラインの作成について検討が進められてきているが1)、希少疾患のみに特有の診療ガイドライン作成方法が提案されているわけではない。基本的にはシステマティックレビューを行ない、益と害のバランスの評価等に基づいて推奨を決定することで、診療ガイドラインを作成する。他の疾患同様、診療ガイドライン作成の全過程を通じて、作成の厳密さ、作成過程の透明性の確保に留意することが望ましい。以下に、希少疾患ガイドライン作成時の留意点を列記する。
  • クリニカルクエスチョン(CQ)の設定では、当該希少疾患に対して実施された全国調査の成績、患者登録のデータなどを元に、疾病の自然史を把握し、重要臨床課題を抽出した上で、CQを設定することが望ましい。
  • システマティックレビューの文献検索では、海外の特定地域などに偏在する場合も考慮して、英文以外の研究論文の検索と入手も考慮することが望ましい。
  • 検索の結果、症例報告、症例集積のような論文しか入手できない場合には、バイアスリスクの評価などに努力を傾けるよりも、全体として、どこまでのエビデンスが得られているかについて、定性的なシステマティックレビューを行う方法が考えられる。
  • 推奨作成では、システマティックレビューの結果に加えて、益と害のバランス、患者のs価値観・希望を考慮し、コスト・資源についても評価することが望ましい。
  • エビデンスが極めて乏しく、ガイドライン作成グループによる合意形成プロセスでも合意に達しないCQでは、推奨を作成せずに、「future research question」として、臨床研究推進の提言(「研究提言」)に留めることも考慮する。

文献

1) Pai, Menaka, et al., 2015, “Developing methodology for the creation of clinical practice guidelines for rare diseases: A report from RARE-Bestpractices,” RareDisease, 3:1, e1058463, DOI:10.1080/21675511.2015.1058463.
   
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