妊娠出産 Minds版ガイドライン解説

  • 推奨の強さ B分娩第1期において、胎児の安全性が確保できるのであれば、産婦はできるだけ、拘束のない自由な姿勢で過ごすことができるように配慮されるべきである。
  • 推奨の強さ B :また、CTG[cardiotocogram]を装着しなければいけないことがある場合は、胎児の健康状態を精度高く捉えられることを前提として、一定の体位の保持がなぜ必要であるかを説明してからすべきである。
  • 推奨の強さ B :さらに産婦の同一体位による苦痛を取り除くために安楽な体位[側臥位やクッションなどの補助具の使用]をとるようにする。
  • 推奨の強さ B分娩第2期は快適性からみると座位分娩フリースタイル分娩は産婦の主観的評価は高いが、出産後の出血量の増加などの出産のリスクがあることを知っておく必要がある。

ガイドライン作成委員より皆様へ
お産の時に自由に動ける事は、分娩の進み方を早め、満足感も高まります。お産の時、20分以上ずっと同じ格好でいると産痛が強まり、身体的にも苦痛を感じます。ベッドに寝ていない方が、赤ちゃんが重力で産道を降下しやすいのです。疲れている時や眠い時は仰向けではなく、側臥位で横向きに寝て休むと、陣痛の間隔が伸びるのでその合間に休むことができ、その反面で陣痛の持続時間が長いのでお産は進みます。
 


医学用語解説
分娩第1期
(ぶんべんだい1き)
赤ちゃんを産む分娩期の中で、規則的な陣痛が始まってから、赤ちゃんが子宮から出られるように、子宮の出口が10cmほどの大きさに完全に開くまでの期間を分娩第1期と呼びます。通常は10〜16時間ほどかかります。なお、分娩期は第1〜3期に分類され、子宮の出口が開いてから赤ちゃんが生まれるまでが第2期、その後に胎盤が出てくるまでが第3期になります。
CTG[cardiotocogram]
(シーティージー[カーディオトコグラム])
胎児心拍[数]陣痛図(たいじしんぱく[すう]じんつうず)のことです。英語ではcardiotocogramといい、CTGはその略語です。赤ちゃんの心拍数、つまり心臓の動きと子宮が収縮する様子を同時に測定して、記録したものです。赤ちゃんの健康状態を予測する上で重要な検査です。CTGを使用することで、母子の状態を確かめながら、安全に出産することができます。
側臥位
(そくがい)
横を向いて寝ている状態のことです。楽に出産を行う体位の一つですが、お産の最中に疲れたり眠りたい時に効果的です。座った状態や四つ這いなど、産婦が楽だと思う自由な体位を取ることもあります。
分娩第2期
(ぶんべんだい2き)
赤ちゃんを産む分娩期の中で、子宮の出口が完全に開いてから、赤ちゃんが産道を通り、生まれてくるまでの期間を分娩第2期と呼びます。通常は30分〜1時間かかります。なお、分娩期は第1〜3期に分類され、規則的な陣痛が始まってから子宮の出口が完全に開くまでが第1期、赤ちゃんが生まれた後に胎盤が出てくるまでが第3期になります。
座位分娩
(ざいぶんべん)
座った姿勢で赤ちゃんを産むことです。赤ちゃんを産むときに産婦が乗る分娩台の背もたれを約45度起こして出産します。この姿勢を取ると、産道が広がり、赤ちゃんが産道を下降しやすいため、分娩時間が短くなります。また産婦は周りを見ることができ、状況が把握しやすいので、不安感を解消できます。しかし、腟の出口が切れたり裂けたりしないように行う会陰保護や、赤ちゃんが産道から出にくいときに行う吸引などの処置が難しいといった欠点もあります。
フリースタイル分娩
(フリースタイルぶんべん)
赤ちゃんを産むときに分娩台を使用せず、自由な場所で、自由な体位で産むことです。助産院で行われることが多かったのですが、最近では病院でも産婦の希望に合わせて出産体位を選べるようになってきています。
主観的評価
(しゅかんてきひょうか)
個人の受けとめ方や経験、満足度などの感じ方に基づいた評価のことです。ここでは、産婦が座った状態や自分が楽だと思う自由な体位で出産した場合に、産婦による評価は快適性が高くなることを説明しています。しかし自由な体位での分娩には、リスクが伴うことも知っておく必要があります。
リスク 病気にかかりやすい危険性のことをリスクといいます。ここでは、座った状態や自分が楽だと思う自由な体位で出産した場合は、赤ちゃんの出口である腟口が裂けたり胎盤が出る時の出血量が増える危険性があることを説明しています。


関連する医療提供者向けガイドラインの表示はこちら
(旧版)科学的根拠に基づく「快適な妊娠出産のためのガイドライン」  RQ4
 
 
 
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