急性胆管炎・胆嚢炎 Minds版ガイドライン解説

初期治療を開始すると同時に重症度評価を行う。可及的に検査を進め、切除可能性を検索するように努める。胆道ドレナージのタイミングをのがさないようにすべきである。
重症例では緊急に胆道ドレナージを行う必要がある。緊急ドレナージができない施設では対応可能な施設に緊急搬送する。[推奨度A


ガイドライン作成委員より患者さんへ
膵がんや胆道がんに伴って起きる急性胆管炎でも、通常と同じように、まず点滴、栄養などの全身の治療と抗菌治療を開始し、急性胆管炎の重症の度合いを評価し、胆道ドレナージを行います[Q29も参考にしてください]。重症の場合は、緊急で胆管の細菌胆汁を排膿するドレナージが必要になりますので、治療が可能な病院へ転院する場合があります。このような急性胆管炎の治療を行いながら、同時に、原因となっている膵がんや胆道がんの手術治療についても検査を進めていきます。
 


医学用語解説
急性胆管炎
(きゅうせいたんかんえん)
胆管の中に胆石が詰まるなどして、胆汁の流れが滞り、胆管内に胆汁があふれると、痛みが起こります。胆石が自然に流れて胆汁の詰まりがなくなることで痛みが治まることもありますが、そのまま胆汁の流れが滞っていると、腸内の細菌などが逆流し、細菌感染を引き起こします。これを急性胆管炎といいます。
初期治療
(しょきちりょう)
病気が診断されたとき、最初に行う治療のことです。手術や胆汁を排出する治療を行うことを前提に、食事を摂らない、注射による栄養や水分の補給を行う、痛み止めや細菌を殺す薬を投与するといった治療が最初に行われます。
重症度評価
(じゅうしょうどひょうか)
症状や検査の結果を基準に当てはめて、患者さんの病気の重さを決めることをいいます。その基準となるものが重症度判定基準というもので、患者さんの状態や症状、血液検査の結果などから判断が下されます。
胆道ドレナージ
(たんどうドレナージ)
ドレナージというチューブを通し、胆道内に滞った胆汁を排出させることです。内視鏡的ドレナージ、経皮経肝的ドレナージ、開腹ドレナージの三つがあります。内視鏡的ドレナージは口から胃、十二指腸、胆管へとチューブを通し、経皮経肝的ドレナージは皮膚の上から肝臓、胆管へとチューブを通す方法です。特殊な場合には、おなかを開いて胆管にチューブを通す開腹ドレナージが行われます。
緊急ドレナージ
(きんきゅうドレナージ)
胆汁の滞りが見られる場所に、可能な限り早い段階でドレナージというチューブを挿入し、胆汁を体外へ排出する治療法のことです。皮膚の上から針を刺し、肝臓を通して胆道にチューブを留め置く方法と、内視鏡を用いて十二指腸から胆道にチューブを通す方法があります。


関連する医療提供者向けガイドラインの表示はこちら
(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン  Q121 膵胆道悪性腫瘍に伴う急性胆管炎に対する初期診療方針は?
 
 
 
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