糖尿病 Minds版ガイドライン解説

妊娠時の血糖管理では、低血糖を起こさずに正常範囲に保つために食事療法インスリン療法を行う。すなわち、HbA1c5.8%未満、空腹時血糖値70〜100mg/dL、食後2時間血糖値120mg/dL未満を目標とする。グレードA コンセンサス
ただし、平均血糖値が下がりすぎると低体重児の頻度が上がるので注意が必要である。グレードB レベル3
厳格な血糖管理目標の達成のためには頻回の血糖自己測定が望ましい。グレードA レベル3

ガイドライン作成委員より患者さんへ
妊娠糖尿病では高血糖や低血糖による母児への影響を防ぐためにHbA1c5.8%未満、空腹時血糖値70〜100mg/dl、食後2時間血糖値120mg/dl未満を目標とします。治療としては食事療法が基本ですが、コントロールが不十分な場合はインスリン注射も行います。経口薬は胎児への安全性が確立していません。
 


医学用語解説
血糖管理
(けっとうかんり)
血液中のブドウ糖の濃度である血糖値を正常な値に保つことです。血糖コントロールの目安として、一晩絶食した朝に採血して測定する空腹時血糖値、血糖値が高くなる食後に採血して測定する食後2時間血糖値、1〜2カ月間の平均血糖値を反映したHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)などが用いられます。
低血糖
(ていけっとう)
血液中のブドウ糖濃度である血糖値が、急激に低下した状態のことです。血糖値は食事の量や間隔、運動量などによって変化するため、状況によっては血糖値を下げる薬が効き過ぎて、低血糖を起こすことがあります。低血糖の状態になると、脈が速くなったり、汗をかいたり、手足がしびれたりするなどの症状が見られ、放置すると意識がなくなってけいれんを起こしたり、昏睡(こんすい)状態に陥ったりし、死に至ることもあります。
食事療法
(しょくじりょうほう)
食事習慣を整えて、糖尿病や高血圧といった生活習慣病を治療する方法です。摂取エネルギー量の制限、栄養バランスの適正化、1日3食の規則正しい食事を摂るなどの指導が行われます。
インスリン療法
(インスリンりょうほう)
不足しているインスリンを、注射によって外から補う治療法です。インスリンがほとんど、もしくは全く分泌されない1型糖尿病では、インスリン治療は不可欠です。一方、2型糖尿病では食事療法、運動療法、経口血糖降下薬を用いても血糖値を下げられない場合に、インスリン治療が選択されます。また、著しい高血糖のために膵臓(すいぞう)の働きが低下している場合にも、インスリン治療が行われることがあります。
HbA1c
(ヘモグロビンエーワンシー)
糖尿病の診断や管理に使われる指標の一つです。血液検査を行って測定します。HbA1cは、過去1〜2カ月の血液中のブドウ糖濃度である血糖値を反映すると考えられ、血糖値が高い場合には上昇し、低くなると低下します。食事の影響をほとんど受けないため、糖尿病の管理を行う上で優れた指標だと考えられています。なお、HbA1c[JDS値]の成人の正常値は4.3〜5.8%、小児の正常値は6%以下です。JDSとはJpan Diabetes Socisryの略で日本糖尿病学会のことです。JDS値はその学会が定めたHbA1cの基準値で、同じHbA1cの基準値でも国際標準値よりも0.4%低くなります。グリコヘモグロビン、糖化ヘモグロビンともいいます。
空腹時血糖値
(くうふくじけっとうち)
糖尿病の診断に用いられる指標の一つです。血液中のブドウ糖濃度を血糖値といい、空腹時に測定した血糖値が空腹時血糖値です。血糖値は食事などの影響を受けやすいことから、その影響が少ない空腹時に血糖値の測定を行います。通常は最後の食事から10時間以上経ってから測定します。なお、別の日に行った検査で、空腹時血糖値が再び126mg/dl以上となった場合は、糖尿病と診断されます。
食後2時間血糖値
(しょくご2じかんけっとうち)
食事を始めてから2時間後に測定した血液中のブドウ糖濃度のことです。通常、食事をすると、血液中のブドウ糖濃度である血糖値が上昇しますが、健康な人であれば、すぐに血糖値を下げるホルモンのインスリンが分泌されて血糖値は正常に戻ります。しかし、糖尿病の患者さんはインスリンが十分に分泌されなかったり、インスリンの効き目が悪くなったりしているため、食後2時間経ってもなお血糖値が高い状態が持続することがあります。
平均血糖値
(へいきんけっとうち)
ある期間内の血液中のブドウ糖濃度である血糖値を、平均した値のことです。ここでは妊娠期間中の平均血糖値のことを意味します。妊娠中に血糖値が低い状態が続くと、おなかの赤ちゃんが十分に発育できず、通常より少ない体重で生まれてくることがあります。そのため糖尿病の治療を受けている妊婦は、血糖値が低くなり過ぎないよう定期的に血糖値を測定し、適切な値になるようにコントロールする必要があります。
低体重児
(ていたいじゅうじ)
生まれたときの体重が2,500g未満の子のことです。正式には低出生体重児といいます。これをさらに分けると1,500g未満を極低出生体重児、1,000g未満を超低出生体重児と呼ばれ、2,500g以上で生まれた子に比べると、体温を上げたり、呼吸する力が弱かったりすることが多く、治療が必要なこともあります。
血糖管理目標
(けっとうかんりもくひょう)
糖尿病の治療を行うときの、治療の目標値です。血糖をコントロールする目安として、一晩絶食した朝に採血して測定する空腹時血糖値、血糖値が高くなる食後に採血して測定する食後2時間血糖値、1〜2カ月間の平均血糖値を反映したHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)などが用いられます。
血糖自己測定
(けっとうじこそくてい)
血液中のブドウ糖濃度である血糖値を、患者さん自身で測定することです。特にインスリン注射を行っている患者さんはきめ細かく血糖値をチェックする必要があるため、病院での検査だけでなく、簡単な測定器を用いて自宅でも血糖値を測定します。測定はごくわずかな量の血液で行うことができ、採血時の痛みもそれほど強くありません。

 


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(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版  ステートメント
 
 
 
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