糖尿病 Minds版ガイドライン解説

糖尿病における脂質管理は、まずLDLコレステロール値を目標値までコントロールする。スタチンによる血清コレステロール値LDLコレステロール値]の厳格なコントロールは、冠動脈疾患一次予防二次予防および脳血管障害の予防に有効である。グレードA レベル1
フィブラートの投与は、2型糖尿病の患者の冠動脈イベントを抑制する。グレードB レベル1

ガイドライン作成委員より患者さんへ
糖尿病では動脈硬化が進行し、心筋梗塞・狭心症・脳梗塞・足の血流不全などの危険性が高まります。さらに、脂質異常症がその危険性を一層高めます。脂質異常症には高LDL[悪玉]-コレステロール血症、高中性脂肪血症、低HDL[善玉]-コレステロール血症があり、特に高LDL-コレステロール血症に対する薬剤服用で動脈硬化の危険性が減ることが実証されています。
 


医学用語解説
血清コレステロール値
(けっせいコレステロールち)
脂質成分の一種であるコレステロールの血液中の濃度のことです。コレステロールには、血管の壁に付着して動脈硬化を進行させる原因となる悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールや、動脈硬化部からコレステロールを引き抜く働きがある善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールなどがあります。
糖尿病
(とうにょうびょう)
血液中のブドウ糖を細胞に取り込む作用を促すインスリンというホルモンの量が足りなくなったり、効き目が悪くなったりして起こる病気のことです。糖尿病になると、血液中のブドウ糖濃度である血糖値が、正常な値よりも高い状態が続くようになります。糖尿病は、主に膵臓(すいぞう)でインスリンを分泌するβ(ベータ)細胞が破壊されて起こる1型糖尿病と、インスリンの効き目が悪くなることによって起こる2型糖尿病に分けられます。
脂質管理
(ししつかんり)
血液中に含まれる脂質成分の濃度が正常値になるように治療することです。血液中の脂質成分には、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライドという中性脂肪などがあります。LDLコレステロールや中性脂肪の濃度が上昇し、HDLコレステロールの濃度が低下すると、血管が硬く、詰まりやすくなる動脈硬化の原因となるため、脂質管理をしっかりと行い、動脈硬化の進行を予防する必要があります。現在ガイドラインで推奨されている糖尿病の患者さんにおける血液中の脂質の管理目標値は、LDLコレステロール120mg/dl未満 [冠動脈疾患がある場合は100mg/dl]、HDLコレステロール40mg/dl以上、中性脂肪150mg/dl未満です。
LDLコレステロール値
(エルディーエル コレステロールち)
脂質成分の一種であるLDLコレステロールの血液中の濃度のことです。LDLコレステロールは悪玉コレステロールとも呼ばれ、血管の壁に付着して、血管が硬く、詰まりやすくなる動脈硬化を進行させます。そのため、LDLコレステロール値が基準値よりも高い場合は生活習慣を改善し、それでも基準値に達しない場合はLDLコレステロールを下げる薬による治療が行われます。
コントロール 物事を調節したり、管理したりすることです。糖尿病の治療では、血液中のブドウ糖濃度である血糖値をゆっくりと正常値に近づけて、それを維持することが求められます。そのためには、まず食生活の改善や積極的な運動が行われますが、それでも血糖値が下がらない場合には、飲み薬やインスリンの注射などが行われます。
スタチン 高脂血症[脂質異常症]の治療薬の一つです。肝臓のコレステロールを合成する酵素の働きを妨げることにより、血液中のコレステロールの濃度を低下させます。脂質異常症と呼ぶ病気のうち、血液中の悪玉コレステロールと呼ぶLDLコレステロール値が高い方に用いられます。
冠動脈疾患
(かんどうみゃくしっかん)
心臓の組織に血液を供給する冠動脈という太い血管が狭くなった状態です。冠動脈の壁にコレステロールなどが付着して、血管が硬く、詰まりやすくなり、血液の流れが悪くなって生じる狭心症や心筋梗塞などが含まれます。
一次予防
(いちじよぼう)
過去にかかったことがない病気に、今後もかからないように予防することです。ここでは、脳卒中や心臓病といった大血管障害にかからないように、生活習慣を改善したり、適切な治療を行ったりすることを指します。
二次予防
(にじよぼう)
一度かかったことがある病気に、再びかからないように予防することです。ここでは、脳卒中や心臓病といった大血管障害にかかった経験がある患者さんが再び大血管症にかからないように、生活習慣を改善したり、積極的な治療を行ったりすることを指します。
脳血管障害
(のうけっかんしょうがい)
脳の血管が詰まって脳の組織に血液が届かなくなったり、破れて出血したりすることで、脳の組織が死んでしまう病気の総称です。脳卒中と呼ばれることもあります。脳血管障害の代表的な病気は、脳の血管が詰まる脳梗塞(のうこうそく)や脳の血管が破れて出血する脳出血で、軽度の場合には症状はほとんど感じないこともありますが、重度の場合は、手足の麻痺や意識の消失などを伴い、半身麻痺や言語障害などの重度な障害が残ることもあります。
フィブラート 高脂血症[脂質異常症]の治療薬の一つです。脂質異常症とは血液中に含まれる脂質成分が異常になった状態をいいます。フィブラートは主に肝臓における中性脂肪の合成を妨げることにより、血液中の中性脂肪濃度を低下させる働きがあります。高脂血症[脂質異常症]と呼ぶ病気のうち、主に血液中の中性脂肪が高い患者さんに対して用いられます。
2型糖尿病
(2がたとうにょうびょう)
糖尿病のうち、血液中のブドウ糖を細胞に取り込む作用を促す、インスリンというホルモンの分泌量が低下したり、インスリンの効き目が悪くなったりして生じるタイプのものです。日常的な食べ過ぎ、運動不足などの生活習慣が原因になると考えられています。糖尿病の患者さん全体の約95%は2型糖尿病です。
冠動脈イベント
(かんどうみゃくイベント)
冠動脈の壁にコレステロールなどが付着して、血管が硬く、詰まりやすくなり、血液の流れが悪くなって生じる虚血性の疾患を指します。冠動脈イベントは狭心症や心筋梗塞を指すことが一般的です。

 


関連する医療提供者向けガイドラインの表示はこちら
(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版  ステートメント
 
 
 
ページトップへ

ガイドライン解説

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す

診療ガイドライン検索

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す