糖尿病 Minds版ガイドライン解説

厳格な血糖コントロールは、大血管症の発症・進展抑制に有効である。グレードA レベル1
大血管症一次予防には、境界型の時期から生活習慣を是正することが重要である。グレードA レベル3
ビグアナイド薬は、肥満2型糖尿病患者大血管症予防に有効である。グレードA レベル1
チアゾリジン薬は、大血管症二次予防に有効である。グレードB レベル1
αグルコシダーゼ阻害薬による食後高血糖コントロールは、2型糖尿病患者大血管症予防に有効である。グレードB レベル1
食事療法運動療法禁煙など生活習慣の改善は、大血管症一次予防二次予防に有効である。グレードA レベル1

ガイドライン作成委員より患者さんへ
糖尿病では動脈硬化が進行し、心筋梗塞・狭心症・脳梗塞・足の血流不全などの危険性が高まります。厳格な血糖コントロールによってこの危険性が減ることが実証されており、病態に応じた薬剤が選択されます。さらに、高血圧、脂質異常症、肥満、喫煙がその危険性を一層高めますが、これらの包括的なコントロールによって危険性が減ることも実証されています。
 


医学用語解説
血糖コントロール
(けっとうコントロール)
血液中のブドウ糖の濃度である血糖値を正常な値に保つことです。血糖コントロールの目安として、一晩絶食した朝に採血して測定する空腹時血糖値、血糖値が高くなる食後に採血して測定する食後2時間血糖値、1〜2カ月間の平均血糖値を反映したHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)などが用いられます。
生活習慣
(せいかつしゅうかん)
人間が普段の生活の中で身に付いた慣習や、癖のことです。睡眠時間、食事や運動の習慣、飲酒、喫煙などが含まれます。糖尿病の治療は生活習慣を改善することが基本ですが、患者さんの生活習慣は一人ひとり異なるため、その患者さんの生活習慣を考慮した指導が求められています。
大血管症
(だいけっかんしょう)
心臓の血管である冠動脈(かんどうみゃく)などの太い血管が硬く、詰まりやすくなる動脈硬化が原因となって生じる病気のことです。動脈硬化が起こると、心臓や脳に十分な血液が供給できなくなります。大血管症には、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの命にかかわる病気があります。糖尿病の患者さんでは、血管が傷つきやすく、大血管症になる危険性は、糖尿病ではない人に比べて数倍高いことが分かっています。
進展抑制
(しんてんよくせい)
病気の進行を抑えることです。慢性合併症の進展抑制とは、網膜症などの慢性合併症が単純網膜症などの早期合併症から増殖前網膜症や増殖網膜症へと進行するのを防ぐことです。そのためには、生活習慣の改善や薬による治療により、血糖コントロールを行うことが重要です。
一次予防
(いちじよぼう)
過去にかかったことがない病気に、今後もかからないように予防することです。ここでは、脳卒中や心臓病といった大血管障害にかからないように、生活習慣を改善したり、適切な治療を行ったりすることを指します。
境界型
(きょうかいがた)
血液中のブドウ糖濃度の検査結果が、正常型にも糖尿病型にも当てはまらない状態のことです。具体的には糖尿病の検査である75g糖負荷試験で2時間値が140〜199mg/dlもしくは、一晩絶食した後の空腹時の血糖値が110〜125mg/dlとなる場合です。境界型に当てはまる人は、後に糖尿病型へと悪化する可能性が高いことが分かっており、食事の見直しや積極的に運動を行って、糖尿病を予防する必要があります。
ビグアナイド薬
(ビグアナイドやく)
糖尿病の治療薬の一種で、メトホルミンが代表的な薬剤です。ビグアナイド薬は、小腸からのブドウ糖の吸収や肝臓(かんぞう)でのブドウ糖の合成を抑え、筋肉や脂肪組織におけるブドウ糖の利用を促がして、血液中のブドウ糖濃度である血糖値を下げる薬のことです。インスリンの分泌には影響を及ぼさずに血糖値を下げることから、インスリンの分泌や効き目に異常がある肥満の2型糖尿病の患者さんによく使われます。
肥満2型糖尿病患者
(ひまん2がたとうにょうびょうかんじゃ)
肥満した2型糖尿病の患者さんのことです。2型糖尿病は、血液中のブドウ糖を細胞に取り込む作用を促すインスリンというホルモンの分泌量が低下したり、インスリンの効き目が悪くなったりして生じます。2型糖尿病の患者さんの中でも、肥満した方では、血糖値を低下させるインスリンの効き目が悪くなりやすいことが分かっています。インスリンの効き目を回復させるには、食事療法や運動療法を行って肥満を解消する必要があります。
大血管症予防
(だいけっかんしょうよぼう)
太い血管が硬く、詰まりやすくなる動脈硬化が原因となって生じる、大血管症が起こるのを防ぐことです。大血管症は、狭心症、心筋梗塞などの心臓病や脳卒中など、命にかかわる病気です。糖尿病の患者さんは、動脈硬化が進みやすく、大血管症になる危険性は糖尿病でない人に比べて数倍高いことが分かっています。
チアゾリジン薬
(チアゾリジンやく)
糖尿病の治療薬の一種です。糖尿病の患者さんの中には、正常にインスリンが分泌されていても、肝臓や筋肉におけるインスリンの効き目が悪くなっている方がいます。チアゾリジン薬には、悪化したインスリンの効き目を改善する働きがあります。
二次予防
(にじよぼう)
一度かかったことがある病気に、再びかからないように予防することです。ここでは、脳卒中や心臓病といった大血管障害にかかった経験がある患者さんが再び大血管症にかからないように、生活習慣を改善したり、積極的な治療を行ったりすることを指します。
αグルコシダーゼ阻害薬
(アルファグルコシダーゼそがいやく)
糖尿病の治療薬の一種で、2型糖尿病の患者さんに使われます。αグルコシターゼ阻害薬は、食物から摂取した炭水化物の消化と吸収を妨げ、小腸で糖が血液中に取り込まれるのを防ぐ働きがあります。なお、αグルコシダーゼ阻害薬は、その作用の特徴から、食事の直前に服用する必要があります。
食後高血糖
(しょくごこうけっとう)
食後の1〜2時間に血液中のブドウ糖濃度である血糖値が著しく上昇することです。食事をすると食物が消化され、糖が体内に吸収され、血糖値が上昇します。血糖値が上昇すると、膵臓(すいぞう)からインスリンが分泌され、ブドウ糖は肝臓や筋肉の細胞に取り込まれ、血糖値は下がります。しかし糖尿病の人は、インスリン分泌量が不足していたり、インスリンの効き目が悪くなったりするため、血糖値は高い状態が続きます。
コントロール 物事を調節したり、管理したりすることです。糖尿病の治療では、血液中のブドウ糖濃度である血糖値をゆっくりと正常値に近づけて、それを維持することが求められます。そのためには、まず食生活の改善や積極的な運動が行われますが、それでも血糖値が下がらない場合には、飲み薬やインスリンの注射などが行われます。
2型糖尿病患者
(2がたとうにょうびょうかんじゃ)
血液中のブドウ糖を肝臓や筋肉の細胞に取り込む作用を促すインスリンというホルモンの分泌量が低下したり、インスリンの効き目が悪くなったりして生じる糖尿病を2型糖尿病といい、その病気にかかった人のことをいいます。2型糖尿病は、日常的な食べ過ぎ、運動不足などの生活習慣が原因だと考えられています。糖尿病の患者さん全体の約95%は2型糖尿病です。
食事療法
(しょくじりょうほう)
食事習慣を整えて、糖尿病や高血圧といった生活習慣病を治療する方法です。摂取エネルギー量の制限、栄養バランスの適正化、1日3食の規則正しい食事を摂るなどの指導が行われます。
運動療法
(うんどうりょうほう)
適度な運動を継続的に行うことで、糖尿病や高血圧といった生活習慣病を治療する方法です。定期的な運動は消費カロリーを増やし、活動性を高めて体重を減らすことができます。特別な運動プログラムを設定しなくても、歩く時間を増やしたり、駅やオフィスの階段を利用したりすることも運動療法になります。
禁煙
(きんえん)
タバコを吸うのをやめることです。タバコは肺がんや胃がんなどの原因になることが知られていますが、タバコを吸うと血管が収縮して血圧が急激に上昇し、血管が硬く、詰まりやすくなる動脈硬化が進行する恐れがあります。その結果、糖尿病が原因で生じるさまざまな病気にかかりやすくなります。糖尿病の治療で最初に行われる生活習慣の改善の中でも、禁煙は必須の項目です。
生活習慣の改善
(せいかつしゅうかんのかいぜん)
食事・飲酒・喫煙・運動など、日々の習慣を改めることです。糖尿病になると血液中のブドウ糖濃度である血糖値が高い状態が続きますが、これには食事や運動などの生活習慣が大きく関係しています。また、喫煙やお酒の飲み過ぎは、血管が傷つき、硬く、詰まりやすくなる動脈硬化や高血圧の原因になります。そのため生活習慣を改善することは、糖尿病治療の基本です。

 


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(旧版)科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 改訂第2版  ステートメント
 
 
 
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