(旧版)大腸癌治療ガイドラインの解説 2009年版

 
2.ガイドラインを理解するための基礎知識


2) 大腸癌とは


大腸癌が発生するしくみ
大腸癌は大腸粘膜の細胞から発生します。
  もともとは正常な細胞が何らかの原因で癌細胞に変化します。
  癌細胞は分裂を繰り返し,何十億から何百億に増えると目に見える大きさになります。
大腸癌の発生には2つの経路があると考えられています。
1つは良性のポリープである腺腫(せんしゅ)が癌になる経路です(図6上)
  腺腫(アデノーマ;adenoma)が発癌刺激を受けて癌化するもので,腺腫―癌連関(adenoma―carcinoma sequence)と呼ばれています(腺腫=adenoma(アデノーマ),癌=carcinoma(カルチノーマ))。
  近年,平坦・陥凹(かんおう)型腺腫の癌化が注目されています。
もう 1 つは発癌刺激を受けた正常粘膜から直接に癌が発生する経路です(図6下)
  この癌はデノボ癌(de novo癌)と呼ばれます(デノボとは初めから,あらたに,という意味のラテン語です)。


 図6.大腸癌の発生

図6.大腸癌の発生



大腸癌の発生・進展に関わる遺伝子(図7)
癌の発生や進展には多くの遺伝子が関与しています(多段階発癌)。
  癌は,遺伝子の変異によって,発癌を促す遺伝子(癌遺伝子)が現れたり,逆に発癌を抑えている遺伝子(癌抑制遺伝子)が働かなくなったりすることで発生します。
  腺腫―癌連関では,APCという遺伝子に異常をきたすことで腺腫が発生します。K-rasという癌遺伝子とp53という癌抑制遺伝子の異常が加わると癌が発生すると考えられています。
  デノボ癌の発癌過程における遺伝子異常の詳細は不明です。


遺伝的素因
大腸癌は親から子への遺伝によって発生することがあります。

遺伝性非ポリポーシス性大腸癌(HNPCC)
  遺伝子の異常を修復する遺伝子(ミスマッチ修復遺伝子)の異常により発生します。50歳より若年で発症すること,右側大腸に多いこと,子宮体癌などの大腸以外の癌が発生することなどの特徴があります。
  家族にこのような傾向がある方は若い時から大腸の精密検査が必要です。

家族性大腸腺腫症(FAP)
  大腸に数え切れないほどたくさんの腺腫ができる病気です。FAPの患者さんはAPC遺伝子に変異があります。大腸癌を発生する可能性が非常に高く,40歳代までに半数の患者さんに癌が発生します。



 図7.大腸癌の発生に関わる遺伝子

図7.大腸癌の発生に関わる遺伝子

大腸癌の肉眼的形態(図8)
大腸癌の形態は大腸癌は見た目の形(肉眼形態といいます)により,0 型~5 型に分類されています(これは大腸癌取扱い規約による分類です)。
  表在(ひょうざい)型(0型)(粘膜または粘膜下層までの癌で,隆起(りゅうき)型と表面(ひょうめん)型に分けられます)
  腫瘤(しゅりゅう)型(1型)(腫瘍全体が塊状となり,腸の内側に出っ張っているもの)
  潰瘍限局(かいようげんきょく)型(2型)(腫瘍の中央が陥凹(かんおう)し,周りの盛り上がり(周堤(しゅうてい)といいます)の境界がはっきりしているもの)
  潰瘍浸潤(かいようしんじゅん)型(3型)(2型よりも周堤がくずれて,正常な粘膜との境界がはっきりしない部分があるもの)
  びまん浸潤型(4型)(癌が周囲に不規則に広がっているもの。スキルス型とも呼ばれることがあります)
  分類不能(5型)
  0型はさらに以下のように細分類されます。
   
隆起(りゅうき)型(I)
 有茎(ゆうけい)型(Ip)
   亜有茎(あゆうけい)型(Isp)
   無茎(むけい)型(Is)
表面型(II)
    表面隆起(りゅうき)型(IIa)
    表面平坦(へいたん)型(IIb)
    表面陥凹(かんおう)型(IIc)


 図8.大腸癌の肉眼分類

図8.大腸癌の肉眼分類


 

 
 
 
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