(旧版)これで治す最先端の頭痛治療 「慢性頭痛の診療ガイドライン」市民版
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妊娠期間中は妊婦の8割で頭痛が軽減します。しかし、出産第1週で半数以上の方で頭痛が再発しています。出産後は母乳栄養をするほうが片頭痛の再発を抑える可能性が示されています。
妊娠中の薬物の危険度は、薬剤そのものの影響と、薬剤使用時期が問題となります。最終月経初日から27日目までは無影響期のため、この期間に片頭痛治療薬を数回使用したとしても特に心配はありません。妊娠初期、特に2ヵ月目は胎児の器官形成時期のため薬剤の使用は控えます。妊娠後期には催奇形性はありませんが、胎児毒性が問題となります。アスピリンなどの消炎鎮痛薬は動物の妊娠末期には胎児の動脈管収縮などの報告があるため、使用を控えます。
妊婦における片頭痛急性期発作の治療薬として、完全に安全とされる薬剤はありません。しかし、いろいろなガイドラインでは妊娠中の鎮痛薬としてはアセトアミノフェンが推奨されています。エルゴタミンは子宮収縮作用があり、早産の危険性があるため、禁忌(きんき)となっています。
トリプタンの安全性については「妊娠初期におけるトリプタンの使用が、催奇形の危険性を大幅に増加させるものではなかった」と報告されています。すなわち妊娠初期にトリプタンを服用してもあわてることはありません。
妊娠中の予防療法では、抗てんかん薬のバルプロ酸ナトリウムは胎児に対する危険性が最も高いため服用を避けます。カルシウム拮抗薬も妊娠中服用禁忌です。妊娠中に予防薬が必要な場合には、β遮断薬(特にプロプラノロール)が選択肢としてあげられています。
授乳中のトリプタン使用については、服用したトリプタンの母乳移行が24時間以降は皆無であることから、服用24時間後の授乳が推奨されています。なおスマトリプタンについては2005年に12時間経てばよいと改訂されました。
どの薬でもそうですが、妊娠中・授乳中の服薬は医師とかならず相談の上で行ってください。
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