有効性評価に基づく前立腺がん検診ガイドライン
文献ID:S0030672
PMID:
9763070
文献番号
76
AF
6
研究方法
無作為化比較対照試験(5施設共同)
検査法
経直腸的前立腺生検
対象数
ciprofloxacin群269人、placebo群268人、計537人。
対象集団の特性
年齢41-88歳、平均年齢69.1歳。88%が白人。
対象集団の設定条件
適応基準は研究5施設で1992年1月-1993年3月に経直腸的前立腺生検を行った18歳以上の男性。
除外基準は 1)ciprofloxacin及びguinolone系抗生剤アレルギー 2)心弁膜症でciprofloxacin使用者 3)特殊な胃腸疾患や内服不能例 4)癲癇の既往 5)術前尿培養で細菌尿のあった人 6)登録7日前までの尿路鏡受診者 7)生検24時間前までの尿カテーテル使用者 8)顆粒球<1000/mm3 9)30日以内の治験薬投与 10)生検1週間以内の抗生物質使用者。
適応者は、術前ciprofloxacin500mg×1回投与もしくはplacebo投与に1:1で割り付けられた。
コンプライアンス
全対象のうち評価対象は457人で、ciprofloxacin群の84%(227人)。placebo群の86%(230人)。(対象者のうち尿培養未施行などで80人が脱落)
評価指標
細菌学的反応(細菌尿の有無)、自覚症状のある尿路感染症。
評価指標の把握
医療記録(術後2-6、9-15日での尿検査と尿培養、自覚症状の有無。)
結果
ciprofloxacin群とplacebo群では、事前の浣腸や抗生剤投与から検査までの時間、生検方法や生検回数に差はない。
細菌尿を認めたのはciprofloxacin群3%(7人)、placebo群9%(21人)と有意差あり(p=0.007)。
有症状の尿路感染症はciprofloxacin群で3%(6人)、placebo群で5%(12人)であり、有意差なし。
入院加療を要する尿路敗血症はciprofloxacin群では0.4%(1人)、placebo群で1.5%(4人)であった。
不利益
上記の通り。
研究全般に関するコメント
1)前立腺生検を行うに至った理由(検診か外来か)は不明。自覚症状には尿路感染症に関係ないものも含まれる可能性もあるが、その影響は生検手技ほどではないとしている(生検手技は感染症の変数ではない)。その他、Confoundingな要因として、生検時のイベントに対する治療の影響が考えられると述べている。
2)先行研究では尿路感染発見率は0-31%だが、生検件数との影響はなし。