有効性評価に基づく前立腺がん検診ガイドライン
文献ID:S0030664
PMID:
10848699
文献番号
68
AF
4
研究方法
コホート研究
検査法
PSA
対象数
1913年生まれ658人、1930-1931年生まれ710人。
対象集団の特性
1913年生まれの集団、1930-1931年生まれの集団の2種類(67歳?)。
対象集団の設定条件
1)1913年生:1963年に開始したスウェーデン・イェーテボリの検診コホート。
2)1930-1931年生:ERSPC参加のスウェーデン・イェーテボリの検診群。
検診群における受診率・要精検率
1)1913年生まれは初回検診で88%(853人/973人)受診し、1980年の検診ではこのうち658人が受診。
2)1930-1931年生まれは、32,298人中10,000人が検診群に割り付けられ、このうち該当年生まれは1,120人であり、710人(63%)が受診。
評価指標
前立腺がん:罹患率・生存率
評価指標の把握
死亡票、医療記録
PSA値別 検診-罹患・診断-死亡の時間
結果
西スウェーデンのRegional Cancer Registry、カルテ、病理レポート、死亡診断書による確認。1967年から健康診断を開始。-70度で凍結保存された血液サンプルを使用してPSAを測定。1930-1931年集団は、PSA>=3ng/mlでDRE,TRUS,sextant biopsyの受診勧告。
1913年生まれでは、18人(2.7%)が前立腺がんで死亡しており、前立腺がんの累積発見率は11.1%であった(PSA<3ng/mLでは5.0%、PSA>3ng/mLでは32.9%、P<0.01)。1930-1931年生まれでは、前立腺がんの累積発見率は4.4%であり(PSA>3ng/mLでは22%)、発見された31人中の30人の腫瘍は組織限局であった。結論として、sextant biopsyの前に実施する単独のPSAスクリーニングだけでは、15年間で前立腺がんの40%しか発見できない。PSAが増加して臨床診断に至るまでのリードタイムは平均7年かかり、さらに15年以内に死亡する者は25%である。PSAスクリーニングをすべきかどうかの決定には、個人の選好、他の健康関連因子を検討しなければならない。
不利益
interval cancer (中間期がん)
研究全般に関するコメント
1)PSA単独では、15年間で前立腺がんの40%しか発見できないこと、PSAが増加して臨床診断に至るまで(リードタイムが)平均7年かかり、さらに15年以内に死亡する者は25%である。1回の検診では十分な成果が得られないことを示唆している。
2)1980年のPSA<3ng/mlのうち1995年までに前立腺がんが発見された。<3ng/mlの死亡例9人のうち6人が前立腺がんで死亡しているが、この例が中間期がんに相当する可能性があるとしている。但し、繰り返し検診を評価するまでにはいたらない。