有効性評価に基づく前立腺がん検診ガイドライン

文献ID:S0030663 PMID: 9861205

著者

McGregor M/Hanley JA/Boivin JF/McLean RG

出典: CMAJ/ 159巻, 11号, 1368-72頁/ 発行年 1998年

文献番号

67

AF

4

研究方法

シミュレーションモデルおよび感度分析。

検査法

PSA検査による過剰診断の割合を推定。

対象数

モデル人口1,000人

対象集団の特性

50-70歳

対象集団の設定条件

一般住民を想定 (Quebec, US dataを使用)

検診群における受診率・要精検率

記載なし。

評価指標

過剰診断の割合 (未治療でも死亡に至らない前立腺がんの割合)。

評価指標の把握

計算機シミュレーションおよび感度分析。

結果

検診で発見可能な致死的前立腺がんは、1,000人あたり年間1.3人で、発見可能なすべての前立腺がんは8人と推定された。致命率は16%(1.3/8.0)であった(感度分析13-22%)。したがって、発見可能な前立腺がんの100人中16人だけが、外科的手術で利益が得られるが、残り84人は85歳までに前立腺がんで死亡することはないだろう(過剰診断の割合は84%)。

不利益

検診で発見される前立腺がんの84%は、未治療でも死亡に影響せず、治療効果がある場合に利益が得られるのは16%に過ぎない。ただし、前立腺切除術に伴う合併症の発症や、発見された前立腺がんの中にも致命的で手遅れのものもあり、16%全員が、手術による利益を得られる訳ではなく、本当の利益はもっと少ない可能性がある。

研究全般に関するコメント

検診の有効性を検討する際には、利益(死亡率減少)とリスク(過剰診断)のバランスを吟味する必要がある。
計算に使用した数値は、実際の研究から得られた値である。また重要な変数に対して感度分析も実施している。したがって、この論文は、利益の大きさ、不利益の大きさを検討するうえで、一つの参考資料になる。ただし、人種の違いについては検討の余地がある。
推定値ではあるが、不確実な情報しか利用できない状況で意思決定を下すためには、こうしたリスク評価も考慮する必要があると思われる。

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