有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン

文献ID:S0016501 PMID: 10533481

著者

Bertario L/Russo A/Crosignani P/Sala P/Spinelli P/Pizzetti P/Andreola S/Berrino F

出典: Eur J Cancer/ 35巻, 6号, 973-7頁/ 発行年 1999年

方法

便潜血検査化学法

AF(Analytic Framework)

1

研究方法

症例対照研究

検診方法

便潜血検査化学法(3日連続で2検体)

対象数

症例群:大腸がん死亡例95人(結腸がん63人,直腸がん32人)
対照群:性・年齢・出生地・初回受診年で個別マッチした475人

受診率

FOBT受検率2回以上:症例17%,対照23%
(症例群,対照群ともに最低1回はFOBT受診)

対象集団の特性

初回受診時40歳以上(男女どちらも含む)の平均的リスク集団

対象集団の設定条件

1978-1995年に大腸がん検診(無料)を少なくとも1回受診し,参加に同意した21,879人のコホートが母体.the Italian League Against Cancerから援助.

評価指標

大腸がんによる死亡リスク

評価指標の把握

電話調査と住民投票により死亡を同定し,死亡診断書により大腸がんを把握

結果

初回受診から2年以内に2回目の受診をしたかどうかを受診有無の定義とした場合,大腸がん死亡率調整オッズ比は0.64 (95%CI, 0.36-1.15) であった.統計的有意差はなし.結腸がんでは0.85,直腸がんでは0.32.症例の診断から振り返る年数別の解析では,5年以内の受診有無で,大腸がん死亡率調整オッズ比が最低の0.78となった.受診回数が増えるほどオッズ比は低かった.

不利益

記載なし

研究全般に関するコメント

検診受診者を対象とし,2回目以降の検診の受診有無を受診歴と定義して,大腸がん死亡減少効果を推定している.少なくとも1回は検診を受診した集団を対象としており,self-selection biasの影響は小さいと考えられる.ただし,例数が少ないために,結果は統計的には有意となっていない.症例の診断から振り返る年数別にみて5年以内の受診有無で,大腸がん死亡調整オッズ比が最低の0.78となったことは,(DPCPが長い場合)真のDPCPに近いexposure windowにおいてオッズ比が最低となる,というロジックと一致する.著者らの主張通り,通常のever/never解析では効果を過小評価している可能性がある.母集団,対象集団の性年齢別分布の記載がない,など基礎情報の記載が欠落している.

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