(旧版)腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン

文献ID:S0007649 PMID: 1994285

著者

Caspar W/Campbell B/Barbier DD/et al.

出典: Neurosurgery/ 28巻, 1号, 78-86; discussion 86-7頁/ 発行年 1991年

研究デザイン

7. Case-Control Study

Evidence Level

Level 6

研究施設

Saaland大学、Homburg、独

目的

Caspar展開器を利用した顕微鏡視下ヘルニア摘出術を解説することと、retrospectiveの従来法によるヘルニア摘出術を比較する。

研究期間

1972年1月-1974年7月:従来法(SD 群)
1977年1月-1982年7月:顕微鏡視下ヘルニア摘出術(MSD群)

対象患者

全対象患者は418例で持続的な激しい坐骨神経症状がありラセーグテストが陽性で筋力の低下があり、深部反射や知覚障害が低下し、ベッドでの安静やNSAIDS, 筋弛緩剤、理学療法の治療に効果がえられない患者。術前に運動神経障害の割合はSD 群50.4%、MSD群56.9%であった。

症例数

418

介入

従来法(SD 群:119例)、顕微鏡視下ヘルニア摘出術(MSD群:299例)

主要評価項目とそれに用いた統計手法

5段階の客観的結果評価、合併症
x2乗解析

結果

手技の比較では従来法(SD)と顕微鏡群(MSD)で単椎間はそれぞれ7.6%と89.3%で2椎間は75.6%と10%であった。出血量はそれぞれ65mlと237ml,手術時間は55分と54分であった。
L4/5、L5/S1の障害はSD89% MSD95%、硬膜損傷はそれぞれ6.8%、6.7%であり従来法の1例は髄膜炎を発生した。神経根障害はSD0.8%、MSD1.0%で統計的有意差は無かった。
感染率は高率で従来法が多く5.1%で(MSD2.0%)椎間板炎の発生率には有意差が無かった(SD0%、MSD0.7%)。尿路系の感染率はSD6.8%、MSD3.7%)で有意差は無かった。
術後の改善率はSD 群は13.3% MSD群は32.3%に完全に改善していた。SDの80%にMSDの61.2%に部分的に改善が見られた。悪化例はSD3.3%、MSD3.5%であった。MSD群はSD群より若干良好な改善を示した。(0.005<p<0.1)再発率はSD 群(7.6%)が高率であった(MSD群3.3%)。Ebeling scaleを用いた満足度はMSD92.1%でSD8.4%であり、優、良の割合はMSD74%、SD37.3%であった。また患者自身の満足度の評価はSDの81%にMSDの90.6%で治療の結果に対して満足していた。

結論

顕微鏡視下ヘルニア摘出群は大きな合併症が少なく術後の歩行や退院、仕事の復帰を早め、転職を余儀なくされる割合は減少させることができた。

コメント

信頼に値するデータ

作成者

出沢 明

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