(旧版)ED診療ガイドライン 2012年版
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EDと前立腺癌
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アンドロゲン除去療法によるED
アンドロゲン除去療法によるEDの発症率はきわめて高い。
治療にはPDE5阻害薬が使用されるが,長期のアンドロゲン除去療法後では有効率が低下する。
〔推奨グレードC1〕

テストステロンは性欲,勃起機能,射精機能,妊孕能すべての男性性機能において重要な役割を担う性ホルモンである。アンドロゲン除去療法(androgen deprivationtherapy: ADT)による性機能障害は顕著なものであることが予想されるが,臨床データはきわめて少ないのが現状である。臨床上もホルモン治療後のEDを治療する機会はきわめてまれであり,これは性欲そのものが減退することから患者の訴えが少ないためであることが予想される。ホルモン治療により性的興味維持率はベースラインの約70% から40% に低下し,性的活動維持率は約50% から20% に減少したと報告されている100)。これまでの報告ではED発症率は69〜91% とされており,他の治療と比較してもきわめて高い101)。
治療に関しては,PDE5阻害薬が第一選択と考えられるが,動物実験ではその反応性が低下することが示されている102)。ADT 単独の臨床データはこれまでのところないが,放射線治療とADT の併用療法についての報告がある98)。そのなかで,多変量解析からADT 使用(4カ月以上の併用)は有意にPDE5阻害薬への反応性を低下させると報告されている。長期にわたるADT 症例においてPDE5阻害薬の反応性が年次的に低くなることに留意する必要がある。
治療に関しては,PDE5阻害薬が第一選択と考えられるが,動物実験ではその反応性が低下することが示されている102)。ADT 単独の臨床データはこれまでのところないが,放射線治療とADT の併用療法についての報告がある98)。そのなかで,多変量解析からADT 使用(4カ月以上の併用)は有意にPDE5阻害薬への反応性を低下させると報告されている。長期にわたるADT 症例においてPDE5阻害薬の反応性が年次的に低くなることに留意する必要がある。