(旧版)線維筋痛症診療ガイドライン 2011
5章 治療
5a.非薬物療法:統合医療
5a.非薬物療法:統合医療
2.運動療法
エビデンスI 推奨度B
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西洋医学の治療手段であるが,便宜上本稿で扱う。健康増進には運動が有益な方法である。最大心拍数の65〜70%程度を維持させる中等度の有酸素運動が線維筋痛症の疼痛改善に効果的である。4年以上の長期間にわたり有酸素運動を行った症例では疼痛が軽減し,圧痛点が減少し線維筋痛症の条件を満たさなくなった症例もでる効果があるが,疼痛が完全に消失するのではなく,症例数が少ないため統計的に有意差がでる改善18)(エビデンスIIa)がみられる。一方ではこの有酸素運動が有用であることに否定的な意見19)(エビデンスIIa)もある。適応となる症例の数が少ないために意見の相違がでると考えられる。本邦での運動療法は線維筋痛症を含めた慢性疼痛に有効20)(エビデンスIV)であり,認知行動療法を併用し疼痛が改善した症例21)もあり,今後に期待したい。 |
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西洋医学的な運動療法とは異なり,緩やかな動きが特徴的な太極拳は線維筋痛症に効果的であることが米国の検討22)で判明しており,疼痛の著しい線維筋痛症患者には向いた運動療法と考えられ,日本での検討が望まれる。 |