(旧版)線維筋痛症診療ガイドライン 2011

 
 
4章 鑑別診断
2.線維筋痛症と整形外科的疾患の鑑別

2.整形外科,リウマチ性疾患と線維筋痛症との関連性
arrow これまでの臨床経験から筆者は整形外科,リウマチ性疾患と線維筋痛症との関連性をIII型に分類すると理解しやすいと思っている,すなわち,①線維筋痛症が整形外科疾患の症状を呈し,あるいは増強している場合,②整形外科,リウマチ性疾患が線維筋痛症発症のトリガーとなっている場合,③整形外科,リウマチ性疾患が線維 筋痛症と個々別々に合併している場合,である(図1)。

図1 整形外科,リウマチ性疾患と線維筋痛症
図1

arrow ①についてはたとえば頸肩腕症候群と腰痛症の合併症例が挙げられる。これで線維筋痛症の診断基準を満足する場合,線維筋痛症がこれら整形外科的症状を呈している可能性が高い。また腰椎椎間板ヘルニアの症状を強く呈していてもMRI等の画像所見が軽度でその他全身の疼痛を有し線維筋痛症の診断基準を満足している場合,軽微な腰椎椎間板ヘルニア症状が線維筋痛症によって増強されている可能性が高く,線維筋痛症が症状発症のトリガーとなっているものと考えられる。
arrow ②についてはたとえば血清反応陰性脊椎関節症(SNSA)によって線維筋痛症症状が惹起されている場合が挙げられる。この場合はSNSAの治療によって線維筋痛症症状は軽快,消失する。
arrow ③については整形外科疾患と線維筋痛症が別々に存在し合併している場合で線維筋痛症に合併した腰椎椎間板ヘルニア等の整形外科疾患が挙げられる。
arrow ①,②,③の治療については,①は線維筋痛症の治療,②は整形外科,リウマチ性疾患の治療,③は線維筋痛症と整形外科またはリウマチ性疾患両者の治療が主体となる。ただ③の場合でも腰椎椎間板ヘルニア等で手術などを行う場合には,まず線維筋痛症の治療を行ってその結果をみて手術適応の判定をする必要がある。

 

 
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