(旧版)線維筋痛症診療ガイドライン 2011

 
 
4章 鑑別診断
1.線維筋痛症とリウマチ性疾患の鑑別

5.多発性筋炎・皮膚筋炎
疫学像
arrow 四肢近位筋群,頸筋,咽頭筋などの対称性筋力低下をきたす横紋筋のびまん性炎症性筋疾患である。特徴的な皮疹を呈するものは皮膚筋炎という。有病率は線維筋痛症よりはるかに低く,年間発病率は100万人当たり2〜5人と推測されている。発症年齢は,5〜15歳と40〜60歳にピークがある。
臨床経過
arrow 発熱,全身倦怠感,易疲労感,体重減少などがある。線維筋痛症では通常,顕著な発熱はないが,全身倦怠感,易疲労感,体重減少などは時にみられることがある。また,筋症状として,筋肉痛がよくみられる。多発性筋炎では四肢近位筋,頸筋などの筋力低下がみられることが多い。線維筋痛症では筋肉痛は認められるが,通常,筋力低下はみられない。しかし,病状が長期にわたる症例では筋力低下が認められることがある。筋炎では進行すると,筋萎縮が顕著である。線維筋痛症では廃用性筋萎縮がみられることもある。皮膚症状としては皮膚筋炎で,上眼瞼に出現するヘ リオトロープ疹,手指関節伸側のゴットロン徴候がある。関節炎は稀である2)。線維筋痛症では通常,皮疹はない。
予後
arrow 5年生存率は60〜80%であるが,近年,早期発見・早期治療,また,新たな治療法により予後はさらに改善されている2)
診断基準
arrow 皮膚筋炎・多発性筋炎の診断には厚生省自己免疫疾患調査研究班(1992年)の診断 基準を使用する(表5)。

表5 皮膚筋炎・多発性筋炎の診断基準
表5
1992年厚生省自己免疫疾患調査研究班(文献2より引用)

鑑別診断の要点
arrow 筋力低下,あるいは皮疹,発熱など臨床症状と検査所見から検討する必要があるが,臨床所見あるいは検査所見など顕著な異常が出た場合は膠原病専門医の受診を勧める。


 

 
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