(旧版)腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン 2011
第3章 治療
■ Clinical Question 9
腰部脊柱管狭窄症における脊椎マニピュレーションの意義は何か
推奨
【Grade I】
腰部脊柱管狭窄症の治療に脊椎マニピュレーションが有効であることを裏付ける十分なエビデンスはない.
解説
脊椎マニピュレーションの歴史は長いものの,対象疾患を腰部脊柱管狭窄症に限定して,その有効性を示した論文は少ない.また,その意義を論じるにあたっては専門医による正確な診断が前提となるが,わが国と欧米とでは脊椎マニピュレーションの社会的背景や法的基盤が異なることも考慮に入れたうえで評価をする必要がある.
Murphyら2)は,臨床症状と画像所見から腰部脊柱管狭窄症と診断した連続患者を対象として,症例集積による観察研究を前向きに実施した.この論文では,対象となった平均年齢65歳(32〜80)の57例に対して伸展マニピュレーション,神経モビライゼーションおよび所定の運動療法などを平均13回(2〜50)行い,腰痛特異的QOL尺度であるRoland-Morris Disability Questionnaire(RDQ),疼痛尺度のnumerical rating scale(NRS),自己評価に基づく症状改善率を評価項目として,平均16ヵ月(3〜48)の経過観察を行った.有効なデータが得られたのは44例であった.経過観察終了時でのRDQの平均改善度は5.2点であり,66.7%の患者で臨床的に有意な改善(RDQで3点以上)が認められた.また,疼痛は平均38.4%ほど減少し,自己評価に基づく症状改善率は75.6%であったと報告している.しかし,この研究は対象患者の年齢が幅広く,追加的な理学療法が含まれており,その回数も統一していない.また,平均経過観察期間は2年未満であり,各患者の経過観察期間にも幅がある.さらに,脱落症例も23%であることからEV level IVとした.
腰部脊柱管狭窄症に対する保存治療の一つとして,脊椎マニピュレーションを選択することに関しては,十分なエビデンスがない1, 3, 4, 5).
Murphyら2)は,臨床症状と画像所見から腰部脊柱管狭窄症と診断した連続患者を対象として,症例集積による観察研究を前向きに実施した.この論文では,対象となった平均年齢65歳(32〜80)の57例に対して伸展マニピュレーション,神経モビライゼーションおよび所定の運動療法などを平均13回(2〜50)行い,腰痛特異的QOL尺度であるRoland-Morris Disability Questionnaire(RDQ),疼痛尺度のnumerical rating scale(NRS),自己評価に基づく症状改善率を評価項目として,平均16ヵ月(3〜48)の経過観察を行った.有効なデータが得られたのは44例であった.経過観察終了時でのRDQの平均改善度は5.2点であり,66.7%の患者で臨床的に有意な改善(RDQで3点以上)が認められた.また,疼痛は平均38.4%ほど減少し,自己評価に基づく症状改善率は75.6%であったと報告している.しかし,この研究は対象患者の年齢が幅広く,追加的な理学療法が含まれており,その回数も統一していない.また,平均経過観察期間は2年未満であり,各患者の経過観察期間にも幅がある.さらに,脱落症例も23%であることからEV level IVとした.
腰部脊柱管狭窄症に対する保存治療の一つとして,脊椎マニピュレーションを選択することに関しては,十分なエビデンスがない1, 3, 4, 5).
文献