(旧版)腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン 2011
第3章 治療
■ Clinical Question 7
腰部脊柱管狭窄症における薬物治療の意義は何か
推奨
【Grade I】
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs),筋弛緩薬,メチルコバラミンが腰部脊柱管狭窄症の治療に有効であるというエビデンスは不足している.
【Grade B】
経口プロスタグランジンE(1)は神経性跛行ならびに両下肢のしびれを伴う馬尾症状を有する腰部脊柱管狭窄症の治療に短期間は有効である.
解説
腰部脊柱管狭窄症に対する薬物治療として非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs),筋弛緩薬,メチルコバラミンなどが用いられているが,文献からエビデンスレベルを検討した場合,これら薬剤が有効であるという高いエビデンスは得られていない.
Matsudairaら4)は,神経性間欠跛行ならびに両下肢のしびれを伴う馬尾症状を呈し,MRIで退行性中心性狭窄を認める腰部脊柱管狭窄症患者に対する経口プロスタグランジンE(1)(リマプロスト15μg/日)の有用性をNSAIDs(エトドラク400mg/日)と比較し検討している.リマプロスト投与は34例,NSAIDs投与は32例で,8週間の連続投与が行われ,8週での治療効果判定がなされている.評価項目には健康関連QOL,腰痛,下肢のしびれ,歩行距離,主訴の改善,満足度が用いられている.QOLならびに下肢しびれ,間欠跛行距離に有意な改善がリマプロスト投与群でみられている.会陰部症状,歩行時尿漏れ感,安静時しびれなどのない軽症例では改善度が優れていた.本研究からは「経口プロスタグランジンE(1)(リマプロスト)は,神経性間欠跛行ならびに両下肢のしびれを伴う馬尾症状を有する腰部脊柱管狭窄症の治療に短期間は有効である」とのエビデンスを得ることができる.ただし治療開始後8週での短期間の評価であり,腰部脊柱管狭窄症の一部患者に限定していることから腰部脊柱管狭窄症患者全般に同じ効果が得られるかどうかは不明である(EV level II).
リポプロスタグランジンE(1),プロスタグランジンE(1) の静注,カルシトニン筋注および鼻腔内投与の有効性を示した文献1, 2, 3, 5, 6, 7)は,比較対照をおかない非無作為化試験,患者数が少ない,経過観察期間が異なる,初期症状の重症度が異なる,画像所見による患者選択基準が明示されていないなど不十分なものであり,エビデンスレベルは高くない.なお,腰部脊柱管狭窄症に対するリポプロスタグランジンE(1),プロスタグランジンE(1)の静注,カルシトニン筋注は保険適応となっていない.また,サケ由来カルシトニンの鼻腔内投与に関してわが国では未承認である.
Matsudairaら4)は,神経性間欠跛行ならびに両下肢のしびれを伴う馬尾症状を呈し,MRIで退行性中心性狭窄を認める腰部脊柱管狭窄症患者に対する経口プロスタグランジンE(1)(リマプロスト15μg/日)の有用性をNSAIDs(エトドラク400mg/日)と比較し検討している.リマプロスト投与は34例,NSAIDs投与は32例で,8週間の連続投与が行われ,8週での治療効果判定がなされている.評価項目には健康関連QOL,腰痛,下肢のしびれ,歩行距離,主訴の改善,満足度が用いられている.QOLならびに下肢しびれ,間欠跛行距離に有意な改善がリマプロスト投与群でみられている.会陰部症状,歩行時尿漏れ感,安静時しびれなどのない軽症例では改善度が優れていた.本研究からは「経口プロスタグランジンE(1)(リマプロスト)は,神経性間欠跛行ならびに両下肢のしびれを伴う馬尾症状を有する腰部脊柱管狭窄症の治療に短期間は有効である」とのエビデンスを得ることができる.ただし治療開始後8週での短期間の評価であり,腰部脊柱管狭窄症の一部患者に限定していることから腰部脊柱管狭窄症患者全般に同じ効果が得られるかどうかは不明である(EV level II).
リポプロスタグランジンE(1),プロスタグランジンE(1) の静注,カルシトニン筋注および鼻腔内投与の有効性を示した文献1, 2, 3, 5, 6, 7)は,比較対照をおかない非無作為化試験,患者数が少ない,経過観察期間が異なる,初期症状の重症度が異なる,画像所見による患者選択基準が明示されていないなど不十分なものであり,エビデンスレベルは高くない.なお,腰部脊柱管狭窄症に対するリポプロスタグランジンE(1),プロスタグランジンE(1)の静注,カルシトニン筋注は保険適応となっていない.また,サケ由来カルシトニンの鼻腔内投与に関してわが国では未承認である.
文献