(旧版)腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン 2011
前文
3 診療ガイドライン作成手順
3 診療ガイドライン作成手順
3.2 作成手順
1) | 文献の選択 |
本ガイドライン作成にあたり文献は基本的にNASSガイドラインが作成された時点での2006年まではこれを改めて精読し問題のないことを確認し採用した.さらに同様の検索式を用いて論文選定作業を行った.英文に関してはその後2008年までの767編,和文に関してはわが国の実情を反映すべく1989年から2008年までの271編を検索した.すなわち合計1,038編を委員が作成する構造化シートの対象とした(表2).診療ガイドライン策定委員会ではこれらに対して厳重な検討を重ね,質の高い英文100編,和文13編を選択した.さらに最終的には今回決定したクリニカルクエスチョンに合致する英文29編および和文6編の合計35編をNASSガイドライン収載後の検討論文として採用した. | |
2) | エビデンスレベルの決定 |
各文献の質すなわちエビデンスレベル(EV level)を決定する手立ては種々の診療ガイドラインによって異なる現状がある.本ガイドラインではNASSガイドラインに準拠して表3を採用した.すなわち各論文の研究テーマを治療,予後,診断,経済・決定解析に分け,それぞれの内容をレベルI(高水準の無作為化比較対照試験)からV(専門家の見解)に分類した.同じ論文でも研究テーマが異なればレベルが変化することもあった. | |
3) | 推奨度 |
各クリニカルクエスチョンへのアンサーではエビデンスレベルに基づいて推奨される事項を推奨度として記載した.推奨度もガイドラインごとに若干の相違があるが,本ガイドラインでは表4のようにA,B,C,D,Iと定めた.ここで注意すべきは推奨度が低いものが誤った考えを示すということではなく,あくまでも「論文的に実証されていない」だけであるということである.逆に推奨度が高いことが完璧に真実を反映しているわけではないことも認識すべきである. |
表3 エビデンスレベル(EV level)分類
研究の主な疑問点に関するエビデンスレベル1

1: | 各研究の質を完璧に判定する場合には,研究デザイン全体を厳密に評価する必要がある. |
2: | 成績に整合性が,みられる研究. |
3: | すでに実施された2 件以上の研究の成績を包括的に検討する. |
4: | 研究開始後に被験者登録が開始されているもの. |
5: | 一施設における一治療群(例:骨セメント使用下での人工関節置換術)と他治療群(例:骨セメント非使用下での人工関節置換術)との比較検討. |
6: | ある転帰がもたらされた者,すなわち「症例」(例:人工関節全置換術無効例)および当該転帰がもたらされなかった者,すなわち「対照例」(例:人工関節全置換術奏効例)を被験者とする. |
7: | 研究開始前に被験者登録が開始されているもの. |
8: | 一治療群のみを対象とし,他治療群との比較検討は行わない. |
(佐藤栄修,高橋和久監修:腰部脊柱管狭窄症NASS クリニカルガイドラインダイジェスト, 医薬情報研究所, 東京, 2010 より引用) |
表4 推奨度
