(旧版)関節リウマチ診療ガイドライン 2014
第4章 ガイドライン作成に用いた資料一覧 |
エビデンスのまとめ |
CQ ナンバー | 73 | 担当者 | 伊藤 宣,小嶋俊久 |
カテゴリー | 手術7 | ||
CQ | 人工足関節全置換術はRA治療において有用か? | ||
推奨文 | RA患者の足関節障害に対する人工足関節全置換術を推奨する。 | 推奨の強さ | 弱い | 同意度 | 4.33 |
解説 | RAの足関節障害に対する人工足関節全置換術(total ankle arthroplasty;TAA)の報告は,膝関節,股関節と比較するとはるかに少ない。しかしすでに10年以上の長期成績の報告がいくつかあり,また北欧各国のレジストリデータおよびシステマティックレビューが報告されている。これらの報告の検討から,TAAは足関節障害に対しては十分有効で,かつ10年で60~90%の生存率が報告されており,推奨できる手術といえる。しかし長期成績は報告によって大きな開きがあり,また再置換術の最大の原因がインプラントのゆるみで,手術早期のゆるみが多くみられることから,この手術の技術的な困難さを示唆する。手術適応には十分な注意が必要で,かつ術者は十分な経験と注意をもって取り組むべき手術といえる。一方,RAの足関節障害に対するTAAについて,HAQやSF-36などの全身機能,健康状態,疾患活動性に対するエビデンスはほとんどない。今後の検討を待ちたい。なお,足関節障害に対する代表的な手術法として足関節固定術があるが,両術式の比較はCQ74を参考にされたい。 | ||
Q | RA患者の足関節障害に対して,人工足関節全置換術を行うと,長期的に足関節および全身の機能は改善するか? | ||
A | 人工足関節全置換術は足関節機能改善の維持に有用であるが,早期のゆるみなどが起こる場合があり,実施にあたっては注意深い検討と準備を要する。 |
エビデンスサマリー
TAAについてのコクランレビューはない。そこで1998~2012年8月までのRAの足関節障害に対するTAAの論文を渉猟した(50論文)。さらに重要と思われる7論文を追加し,①疾患活動性,HAQ,全身健康状態に対する評価を行っているもの,②多施設共同研究ないしレジストリからの論文,③ RAに限ったTAAの論文あるいはRAの割合が50%を超えるTAAの論文で,かつ再置換をエンドポイントとする10年以上の生存率が述べられた論文を選択し,9論文の構造化抄録を作成した。医学中央雑誌検索では59論文を渉猟した。
その結果,① TAAのレジストリおよびシステマティックレビューでは, 5年生存率は81~89%,10年生存率は61~76%であり,疾患別(RAか否か)の成績は同等である(Fevang BT, et al. 20 07, Skytta ET, et al. 2010, Henricson A, et al. 2011, Zhao H, et al. 2011),② RAに対するTAAにおいて,10年以上の生存率は75.5~93.4% である(Kofoed H, et al. 1998, Nishikawa M, et al. 2004, Wood PL, et al. 2008, Jensen NC, et al. 2009),との結果を得た。RAに対するTAAは,10年程度の成績はある程度期待できるといえる。
一方,足関節はほかの足部関節の変形ないしその進行の影響を強く受け,手術成績が安定しない要因がある。現時点のエビデンスでは,長期成績に最も影響するのはインプラントのゆるみである。また全身的な身体機能,健康状態,疾患活動性に対する効果については,エビデンスはほとんどない。
その結果,① TAAのレジストリおよびシステマティックレビューでは, 5年生存率は81~89%,10年生存率は61~76%であり,疾患別(RAか否か)の成績は同等である(Fevang BT, et al. 20 07, Skytta ET, et al. 2010, Henricson A, et al. 2011, Zhao H, et al. 2011),② RAに対するTAAにおいて,10年以上の生存率は75.5~93.4% である(Kofoed H, et al. 1998, Nishikawa M, et al. 2004, Wood PL, et al. 2008, Jensen NC, et al. 2009),との結果を得た。RAに対するTAAは,10年程度の成績はある程度期待できるといえる。
一方,足関節はほかの足部関節の変形ないしその進行の影響を強く受け,手術成績が安定しない要因がある。現時点のエビデンスでは,長期成績に最も影響するのはインプラントのゆるみである。また全身的な身体機能,健康状態,疾患活動性に対する効果については,エビデンスはほとんどない。
エビデンスの質 (GRADE) |
low |
該当するコクランレビュー | なし |
書誌情報 | |
DOI |