(旧版)関節リウマチ診療ガイドライン 2014

 
第4章 ガイドライン作成に用いた資料一覧
エビデンスのまとめ

CQ ナンバー 69 担当者 西田圭一郎
カテゴリー 手術3
CQ 人工肘関節全置換術は破壊されたRA肘の治療において有用か?
推奨文 RA患者の肘関節破壊を伴う機能障害に対する人工肘関節全置換術を推奨する。
推奨の強さ 弱い 同意度 4.14
解説  人工肘関節全置換術(total elbow arthroplasty;TEA)は一般に連結型(linked)および非連結型(unlinked)に分類される。連結型タイプの代表機種には米国のCoonrad-Morrey,スイスのGSBⅢがある。非連結型タイプはいわゆる表面置換型人工肘関節であり,欧州ではSouter-Strathclyde TEAが,米国ではCapitellocondylar TEAがあり,わが国ではKudo型人工関節の先駆的な開発があり,以後多くの国産機種が現在使用されている。いずれも除痛効果が高く,良好な機能改善が報告されている。本ガイドラインでは2012年8月までに査読誌に比較的長期の成績が報告されているものを抽出した。RAに対するTEAの報告では症例数が少ないものが多く,また,開発者の施設における良好な成績を報告したものが多い。総説では,適応や手術技術による生存率の違いを指摘するものもあり,注意が必要である。また,股関節,膝関節に比べて合併症が多いとされ,熟練した手術手技が要求されることもあり,推奨度は弱いとなった。


  エビデンスサマリー
Little ら(Little CP, et al. J Bone Joint Surg Am. 2005;87:2439-2448)の3つの異なる機種に関するレビューによると再置換または抜去,およびX線学的ゆるみをエンドポイントとした5年生存率は,Kudo型人工関節では93%および82%,Souter-Strathclyde TEAでは85%および81%,Coonrad-Morrey TEAで90%および86%であり,除痛効果,術後可動域はいずれも差がなかった。GSBⅢは7.6年のフォローで94%が,13.5年のフォローで87.7%が抜去なく生存と報告されている。最も長期のフォローはCoonrad-Morreyの10~31年(平均17.5年)であり,68.3%が再置換術なしであった。一方でシステマティックレビュー(Little CP, et al. J Bone Joint Surg Br. 2005;87:437-444)によると再置換術は5 ~15%(中央値11%),ゆるみは0 ~18%(中央値6%),脱臼は3~5%(中央値3%),不安定性は6~13%(中央値10%)に認められ,報告・機種間に差があることも指摘されている。また,RA患者では再置換術は10%,ゆるみは12%とやや多く認められる一方で,臨床評価でgood/excellentの割合は83%と良好であることも指摘されている。
エビデンスの質
(GRADE)
low
該当するコクランレビュー なし
書誌情報
DOI

 
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