(旧版)関節リウマチ診療ガイドライン 2014
第4章 ガイドライン作成に用いた資料一覧 |
エビデンスのまとめ |
CQ ナンバー | 14 | 担当者 | 金子祐子 |
カテゴリー | MTX以外のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬) 6 | ||
CQ | RA患者に対してイグラチモド投与は非投与に比較して有用か? | ||
推奨文 | RA患者の疾患活動性改善を目的としてイグラチモド投与を推奨する。ただし長期安全性は確認されていない。 | 推奨の強さ | 弱い | 同意度 | 4.00 |
解説 | RA患者の疾患活動性改善を目的としたイグラチモド投与は,日本で施行されたバイアスの低い臨床試験で,疾患活動性改善に対する有効性が示されている。臨床試験からは肝障害とNAG上昇,全例登録調査からは消化管出血が報告されており注意が必要である。また,画像的関節破壊抑制効果に関する有効性は証明されていないこと,全例登録調査中であり長期的な安全性が確認されていないことから,弱い推奨とした。 今後は安全性の確立と最適な投与法の確立が必要である。 |
||
Q | RAにおけるイグラチモド投与は有効かつ安全か? | ||
A | RAに対するイグラチモド投与は,疾患活動性改善に有効である。画像的関節破壊抑制効果についてはエビデンスはない。肝障害は使用後4〜 8週での頻度が高く,継続での自然軽快も認められるが注意が必要である。全例登録調査では,消化管出血が報告されている。 |
エビデンスサマリー
イグラチモド(IGU)に関するコクランレビューはなく,文献検索でエビデンスを検討した。
PubMed検索では,関連する文献が68件抽出され,このうちRCT3件と有害事象観察目的の観察試験1件について構造化抄録を作成した。
RCTはいずれもlow risk of biasであった。日本におけるプラセボ,サラゾスルファピリジン(SASP)との比較試験(Hara M, et al. Mod Rheumatol. 2007;17: 1 - 9 )は,24週時にプラセボ群よりも有意に有効性(ACR20 53.8 vs 17.2%)が,SASPとは非劣性(63.1 vs 57.7%)が認められ,有害事象でトランスアミナーゼ上昇が認められた。日本におけるMTX併用下でのプラセボとの比較試験(Ishiguro N, et al. Mod Rheumatol. 2013;23:430-439)でも,24週時に有意に有効性(DAS28低下 -1.51 vs -1.66, HAQ改善>0.22 63.4 vs 36.4%)が認められた。有害事象としてトランスアミナーゼ上昇,BMG上昇,リンパ球減少が認められた。日本における有害事象観察を目的とした長期観察試験(Hara M, et al. Mod Rheumatol. 2007;17:10-16)では,NAG上昇は4週以内が多く9.3%,AST/ALT上昇は4〜8週が多く18〜19%(>100 IU/L は7 〜10%)であったが,使用継続でも自然軽快がしばしば観察された。体重40kg以下では頻度が高かった。以上の3試験はいずれも日本でのIGUを使用した試験であり,25mg/日を4週後50mg/日へ増量する使用法である。中国で行われた同成分であるT-614とMTXとの比較試験(Lu LJ, et al. Arthritis Rheum. 2009;61:979-987)では,T-614 50mg/日群では24週時にMTX群との非劣性が示されたが,T-614漸増(25mg/日,4週後50mg/日)群では有効性が劣っていた。有害事象では,T-614漸増群でALT上昇が少ない傾向が認められたが,大きな差は認めなかった。
医学中央雑誌でも同様に検索したが,該当する文献はなかった。
以上より,RA患者におけるIGUの疾患活動性改善に対しては有効性が示された。画像的関節破壊抑制効果は示されていない。また,長期安全性についても確認されていない。
PubMed検索では,関連する文献が68件抽出され,このうちRCT3件と有害事象観察目的の観察試験1件について構造化抄録を作成した。
RCTはいずれもlow risk of biasであった。日本におけるプラセボ,サラゾスルファピリジン(SASP)との比較試験(Hara M, et al. Mod Rheumatol. 2007;17: 1 - 9 )は,24週時にプラセボ群よりも有意に有効性(ACR20 53.8 vs 17.2%)が,SASPとは非劣性(63.1 vs 57.7%)が認められ,有害事象でトランスアミナーゼ上昇が認められた。日本におけるMTX併用下でのプラセボとの比較試験(Ishiguro N, et al. Mod Rheumatol. 2013;23:430-439)でも,24週時に有意に有効性(DAS28低下 -1.51 vs -1.66, HAQ改善>0.22 63.4 vs 36.4%)が認められた。有害事象としてトランスアミナーゼ上昇,BMG上昇,リンパ球減少が認められた。日本における有害事象観察を目的とした長期観察試験(Hara M, et al. Mod Rheumatol. 2007;17:10-16)では,NAG上昇は4週以内が多く9.3%,AST/ALT上昇は4〜8週が多く18〜19%(>100 IU/L は7 〜10%)であったが,使用継続でも自然軽快がしばしば観察された。体重40kg以下では頻度が高かった。以上の3試験はいずれも日本でのIGUを使用した試験であり,25mg/日を4週後50mg/日へ増量する使用法である。中国で行われた同成分であるT-614とMTXとの比較試験(Lu LJ, et al. Arthritis Rheum. 2009;61:979-987)では,T-614 50mg/日群では24週時にMTX群との非劣性が示されたが,T-614漸増(25mg/日,4週後50mg/日)群では有効性が劣っていた。有害事象では,T-614漸増群でALT上昇が少ない傾向が認められたが,大きな差は認めなかった。
医学中央雑誌でも同様に検索したが,該当する文献はなかった。
以上より,RA患者におけるIGUの疾患活動性改善に対しては有効性が示された。画像的関節破壊抑制効果は示されていない。また,長期安全性についても確認されていない。
エビデンスの質 (GRADE) |
high |
該当するコクランレビュー | なし |
書誌情報 | |
DOI |