(旧版)関節リウマチ診療ガイドライン 2014

 
第4章 ガイドライン作成に用いた資料一覧
エビデンスのまとめ

CQ ナンバー 9 担当者 金子祐子
カテゴリー MTX以外のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬) 1
CQ RA患者に対して注射金製剤投与は非投与に比較して有用か?
推奨文 RA患者の治療選択肢として注射金製剤投与を推奨する。
推奨の強さ 弱い 同意度 4.26
解説  RA患者における注射金製剤は,臨床試験において,疾患活動性改善,画像的関節破壊抑制効果に有効性が認められ,安全性の面でも有害性は高くなかった。臨床試験はいずれも現在の標準的評価はなされておらず,頻回の筋肉注射が必要なため利便性が低く,また他の薬物療法の進歩により使用頻度は著しく減少しているが,多剤不耐や感染症併存などの際には依然として選択肢の1つとなりうることから,弱い推奨とした。
Q RAにおける注射金製剤投与は有効かつ安全か?
A RAに対して,注射金製剤投与は疾患活動性改善,画像的関節破壊抑制効果に有効である。安全性では皮膚粘膜障害と血液障害に注意が必要である。


  エビデンスサマリー
1997年に発表され2010年に更新されたコクランレビューにおいて,1997年までに報告されたRA患者における注射金製剤に関するRCTから,6ヵ月後の疾患活動性が評価された4文献が選択された。介入は注射金製剤投与で,アウトカムは腫脹関節数,医師全般評価,患者全般評価,ESRと有害事象が評価された。Low risk of biasであった。
 6ヵ月後において,腫脹関節減少効果(effect size:4.58(95%CI -6.5〜-2.65)), 医師全般評価改善(-0.34(-0.48〜-0.2)),患者全般評価改善(-0.48(-0.77〜-0.19)),ESR低下(-13.16(-18.14〜-8.18)) が認められた。効果不十分に対する中断は,OR 0.28(0.1〜0.75)であった。安全性に関しては,毒性による中断がOR 2.22(1.38〜3.56)で あり,皮膚粘膜障害による中断が4.17(2.10〜8.27),腎毒性が0.53(0.99〜3.16),血液障害が6.05(1.18〜31.04)で,皮膚粘膜障害と血液障害が多く認められた。
 その後の2012年7月までに発表された文献について,PubMed検索をした。438文献から,日本で使用可能なDMARDを対照とする試験も含めて,RCTで関節破壊に関するアウトカムを評価している文献4件を抽出した。これらは1つのRCTの初報と長期成績についての文献であったことから,3年間の画像的関節破壊を評価していた1件について構造化抄録を作成した。
 MTX 15mg/週注射と注射金製剤を比較した試験(RauR, et al. Rheumatology. 2002;41:196-204)は,low risk of biasで,サンプルサイズはやや小さいが,3年後の関節破壊に差を認めなかった。
 同様に医学中央雑誌を検索したが,該当する論文はなかった。
 以上より,RA患者における注射金製剤投与は,疾患活動性改善,画像的関節破壊抑制効果に対して有用性が認められた。いずれの試験も古いため現在の標準的な評価ではなく,使用される頻度も減少しているが,DMARDの選択肢の1つとしては有用性があると考えられた。
エビデンスの質
(GRADE)
high
該当するコクランレビュー あり
書誌情報 Clark P, Tugwell P, Bennett KJ, Bombardier C, Shea B, Wells GA, Suarez-Almazor ME. Injectable gold for rheumatoid arthritis. Cochrane Database of Systematic Reviews 1997, Issue 4 .
DOI 10.1002/14651858.CD000520

 
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