(旧版)関節リウマチ診療ガイドライン 2014
第4章 ガイドライン作成に用いた資料一覧 |
エビデンスのまとめ |
CQ ナンバー | 4 | 担当者 | 川人 豊 |
カテゴリー | MTX 2 | ||
CQ | MTX不応性RA患者において,MTX単独療法はMTX以外のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)との追加併用療法に比較して,効果と副作用における有用性が高いか? | ||
推奨文 | MTX不応性RA患者に対してcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)追加併用療法を推奨する。ただしリスクとベネフィットを考慮する。 | 推奨の強さ | 弱い | 同意度 | 4.17 |
解説 | MTX不応性RA 患者において,MTXとMTX以外のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)との併用療法の有用性は,RAの治療戦略のなかで重要な意味をもつ。コクランレビューからのエビデンスに基づくと,MTX不応性RA患者に対して,MTX以外のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)との併用で効果は増すが副作用は増加し,効果の消失および毒性による中止においては,MTX単独療法と併用療法で有意な差は示されていない。併用療法のなかで,MTX+サラゾスルファピリジン+hydroxychloroquineはMTX単独療法と比較し,効果と毒性のバランスがよいことが示唆されているが,hydroxychloroquineはわが国では使用できない。リスクとベネフィットを考慮して,csDMARD(従来型抗リウマチ薬)併用療法を考慮していく必要がある。 | ||
Q | MTX不応性RA患者で,MTX単独療法は併用療法に比べ有用性が高いか? | ||
A | MTX不応性RA患者で,MTX単独療法は併用療法に比べ有用性が高い。 |
エビデンスサマリー
2010年に発表されたコクランレビューでは,計19RCT(2,025名)が選ばれた。MTX不応性RA患者において,MTXとMTX以外のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)との併用療法により,効果の増強(ACR responseの有意な改善,疼痛の減少)が認められた。しかし,MTX単独療法とMTX+ MTX 以外のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)との併用療法において,効果の消失と毒性による中止からみた有用性には有意な差はなかった。MTXの使用量は7〜15mg/週であり,現在のMTX使用量に応じた検討が必要であることが示唆されている。体重あたりの評価量でもなく,人種による薬剤感受性を考慮に入れてはいないが,日本のMTX使用量とほぼ一致する。また,1つの臨床試験のみであるが,MTX+サラゾスルファピリジン+hydroxychloroquineはMTX単独療法より,効果と毒性のバランスがよいことを示していた。このコクランレビューは,バイアスリスクは低い。
エビデンスの質 (GRADE) |
low |
該当するコクランレビュー | あり |
書誌情報 | Katchamart W, Trudeau J, Phumethum V, Bombardier C. Methotrexate monotherapy versus methotrexate combination therapy with non-biologic disease modifying anti-rheumatic drugs for rheumatoid arthritis. Cochrane Database of Systematic Reviews 2010, Issue 4 . |
DOI | 10.1002/14651858.CD008495 |