(旧版)不整脈の非薬物治療ガイドライン(2006年改訂版)
VI.心臓再同期療法・両室ペーシング機能付き植込み型除細動器 |
(2)両室ペーシング機能付き植込み型除細動器
Class I:
- 十分な薬物治療を行っても改善しないNYHAクラスIIIないしクラスIVの慢性心不全で,左室駆出率35%以下,QRS幅130msec以上の心室内伝導障害を有し,かつ本ガイドラインで定める植込み型除細動器の適応のクラスI,IIaを満たす場合
- 十分な薬物治療を行っても改善しないNYHAクラスIIIないしクラスIVの慢性心不全で,左室駆出率35%以下,すでに植込み型除細動器植込まれてい て,両室ペーシングにより心機能改善が期待できる場合
心不全においては心室内伝導障害,心房心室間同期不全,心室内同期不全,心室間同期不全が生じているといわれている327).これらの現象を改善させようとするのが右心室と左心室をペーシングする両室ペーシングによる心臓再同期療法(Cardiac Resynchronization Therapy:CRT)である.本法は比較的新しい治療法であるが,十分な薬剤投与後においても心不全を更に改善することが報告されている328).具体的には運動耐容能,QOL,入院回数,死亡率の改善が示されている327,328,329).特にCRTの有効性を最大限とするためには,植込みの基準を更に検討する必要がある.現状として心不全の存在以外に心収縮の非同期性の確認が重要と考えられている.心不全症例においては従来の右室ペーシングが心機能を低下させることが報告されている.このために,心不全症状とペースメーカー植込み適応を併せ持つ症例に対しても両室ペースメーカー植込みを考慮することがある220).更に,心機能低下例では心臓突然死を来すことが多く,除細動機能を必要とすることがある.このような症例には両室ペーシング機能付き植込み型除細動器を用いる.これにより生命予後が改善することが示されている330).