(旧版)不整脈の非薬物治療ガイドライン(2006年改訂版)

 
IV.カテーテルアブレーション

 
カテーテルアブレーションは経静脈的ないし経動脈的に電極カテーテルを導入し,高周波通電を行って不整脈源となる心筋組織を焼灼・破壊する頻脈性不整脈の根治療法である.その臨床応用は1982年137),房室結節リエントリー性頻拍や心房粗動の難治性上室性頻拍に対し直流通電により施行されたが,その成功率は低く重篤な合併症の頻度も高かった.
一方,高周波通電によるアブレーションは1987年138)に房室接合部,心室頻拍,WPW症候群に対して施行され,合併症は激減したが,その成功率は10〜75%と低かった.しかし1990年に入り先端の曲がりを手元で操作可能で先端電極が3〜4mmと長いlarge tipカテーテルの開発により,高周波通電法の成功率は飛躍的に向上した139).その後,large tipカテーテルを用いた高周波アブレーションはWPW症候群(Kent束),房室結節リエントリー性頻拍,通常型心房粗動,心房頻拍,特発性持続性心室頻拍(右室流出路起源心室頻拍,ベラパミル感受性左室起源心室頻拍)に対する根治療法として確立されている.
わが国では1985年直流通電によるカテーテルアブレーションが導入され,1990年には日本心臓ペーシング・電気生理学会(現・日本不整脈学会)は委員会を設立し,適応ガイドライン,施設基準14)及び登録制度が作成され,1994年保険償還後には高周波通電によるアブ レーションは急速に普及している140).上記不整脈に対する成功率は80〜90%を超えるが,重篤な合併症(心タンポナーデ,完全房室ブロック,一過性脳虚血,大動脈弁閉鎖不全など)の頻度が0.5〜0.7%であることに留意するべきである141).最近注目されている心房細動や器質的心疾患(特に心筋梗塞)を有する持続性心室頻拍に対するカテーテルアブレーションは最先端の限られた施設において実施されるべき治療であると言えよう.しかし,カテーテル,通電装置及びCARTOシステムなどの画像解析の開発により,今後の更なる進歩が期待される.

 

 
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