(旧版)不整脈の非薬物治療ガイドライン(2006年改訂版)
改訂にあたって |
1980年代欧米では不整脈とくに頻脈性不整脈に対する非薬物療法は飛躍的な進歩を遂げた.
一方日本では約10年遅れ,1994年にカテーテルアブレーション,1996年に植込み型除細動器(ICD)が保険償還された.従って,2000年初版「不整脈の非薬物治療ガイドライン」作成時には本邦のICDの症例数は少なくエビデンスは皆無に近かった.そのため欧米の大規模研究によるエビデンスとわが国の専門家のコンセンサスによって作成された.その結果は2003年の全国からの1,075例のアンケート調査,および2005年の全国からの2,470例のアンケート調査からその妥当性について検証された.
しかしガイドライン発表後,欧米ではMADIT-II(2002年),SCD-HeFT(2005年)試験等重要なエビデンスが報告され,ICDの一次予防の適応は更に拡大された.また,慢性心不全(NYHA III,IV)に対する両心室ペーシングによる心臓再同期療法(CRT)が開発され,MIRACLE試験によってそのQOLと生命予後の改善が立証され,米国では2001年FDAの認可を受けた.更に両心室ペーシング機能付ICD(CRT-D)が開発され,COMPANIONによって慢性重症心不全症例における心不全死と突然死の予防による生命予後改善が立証され,2002年にはFDA認可を受けた.
わが国においてもこの5年間にICD症例数の増加に加えて心筋梗塞後の低心機能例や慢性心不全症例に関するコホート研究が報告され,欧米の試験成績をふまえてICDの適応拡大の再検討が求められている.更に2004年にCRT,2006年にCRT-Dの保険償還が認められており,新たな適応についての追加が必要となっている.こうした背景とニーズにより2005年初版「不整脈の非薬物治療ガイドライン」改訂作業に着手し,ここに改訂版を策定した.