(旧版)骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン
II 骨粗鬆症の診断 |
A.総論
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診断に際しては,







適用にあたっては原発性骨粗鬆症の診断マニュアルに従って診断を進める9)。
- 診断マニュアルでは,第一義的には低骨量の存在を確認する。
- ついで,低骨量をきたす疾患や続発性骨粗鬆症を除外する。
- さらに,脆弱性骨折の有無に分類して骨評価を行い,正常,骨量減少と骨粗鬆症を診断する。
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表3 低骨量または骨粗鬆症に伴う骨折の危険因子 | ||||||||||||
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表4 腰背部痛を呈する疾患 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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骨密度による骨粗鬆症,骨量減少,正常の診断は,性別,測定部位別,機種別に診断基準で定められた閾値に従って行う9)。
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胸・腰椎のエックス線撮影の方法は,体位(仰臥位または立位)によって異なるが,



椎体骨折の認識には,形態骨折が臨床骨折に比して多いので,エックス線撮影は必須である34)。
なお,他の骨粗鬆症性骨折の大腿骨頸部骨折,橈骨遠位端骨折や上腕骨近位部骨折は,臨床症状からその存在の確認は容易である。
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代謝性骨疾患などの除外のために,通常の臨床検査のほか,血中カルシウム,リン,アルカリフォスファターゼ,尿中カルシウム,クレアチニンの測定が必要である。
骨代謝マーカーのうち,尿中NTX,DPD,CTX,血中NTX,BAPは骨粗鬆症診療の保険適応が承認されている(2006年8月現在)35)。
骨代謝マーカーの著明な高値は,骨粗鬆症以外の代謝性骨疾患や悪性腫瘍による骨転移などの可能性を示唆する(表5)。
表5 転移性骨腫瘍などの骨疾患や骨・カルシウム代謝異常を検索すべき骨代謝マーカーの測定値(文献35より引用) |
男 性 | 閉経前女性 | 閉経後女性 | 単 位 | ||
骨吸収マーカー | DPD | 5.6< | 7.6< | 13.1< | nmol/mmol・Cr |
NTX(尿) | 62.2< | 54.3< | 89.0< | nmolBCE/mmol・Cr | |
NTX(血中) | 17.7< | 16.5< | 24.0< | nmolBCE/L | |
CTX(尿) | 346.1< | 301.4< | 564.8< | µg/mmol・Cr | |
骨吸収マーカー | BAP | 44.0< | 29.0< | 75.7< | U/L |
PINP | 78.0< | 59.9< | 106.5 | ng/mL |
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原発性骨粗鬆症との鑑別診断が必要な疾患として,



表6 骨粗鬆症性椎体骨折と鑑別が必要な疾患 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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WHOおよび日本骨代謝学会による骨粗鬆症の診断基準は,骨密度を用いている8)。
NIHは,骨粗鬆症を,「骨強度の低下を特徴とし,骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患である。骨強度は骨密度と骨質の二つの要因からなる」としている36)。なお,骨質は,構造,骨代謝回転,微細損傷の集積,骨組織のミネラル化などを意味する。これらのうち,骨密度と骨代謝は,非侵襲的に知ることが可能である。
原発性骨粗鬆症の診断は,

