(旧版)大腸癌治療ガイドライン

 
II.治療法の種類と治療方針の解説

 
6.放射線療法
2)緩和的放射線療法
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(1) 骨盤内病変
 
疼痛,出血などの自覚症状,QOLの改善を目的とした放射線治療は有効である。
45Gy以上照射された群での症状緩和率は疼痛89〜93%,出血79〜100%,神経性症状52%,腫瘍の圧排による症状71〜88%,滲出液50%,泌尿器科的症状22%,その他の症状42%であった105),106)
症状緩和持続期間は3〜10ヶ月である。
(2) 骨盤外病変
 
1)骨転移
  局所照射の疼痛緩和率は70〜90%である107),108)
疼痛緩和を目的とした場合,線量と効果の明らかな関係は示されていない109)
病的骨折や骨折のリスクがない,脊髄圧迫症状や神経因性疼痛がない,長期予後が期待できないなどの場合は,8Gy/1回照射でも分割照射と同等の疼痛緩和効果が得られる110),111)
2)脳転移
  症状改善率は60〜80%である112),113)
定位放射線照射では局所制御が80〜90%に得られる114)
予後因子として,PS,頭蓋外病変の制御の有無がある。
全脳照射と定位放射線照射の併用の適応基準については今後の課題である。
3)その他の部位
  頸部リンパ節転移,傍大動脈リンパ節転移,鼠径リンパ節転移などに対し,疼痛などの症状緩和を目的として放射線治療が考慮されることがある。
縦隔リンパ節転移や肺門リンパ節転移などに対し,気道確保やSVC症候群の症状改善を目的として放射線治療が考慮されることがある。

 

 
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