(旧版)大腸癌治療ガイドライン

 
はじめに

 
大腸癌研究会会長
武藤徹一郎

人は誰しも,どの病院へ行っても同質のがん医療が受けられることを期待している。同質でしかも質の高いがん医療を,病院の如何を問わずに提供することががん医療の理想の姿であるが,現実は決してそうではない。がん相談,がんのセカンドオピニオンなどから得られる情報から推察すると,医師が説明する内容が違う,あるいは治療方針が違うために,現場では多くの患者さん達が混乱していることが少なくないようである。厚労省が,がん治療の均てん化(生物がひとしく雨露の恵みにうるおうように,各人が平等に利益を得ること)を目指して,全国にがん拠点病院を選定し,がん医療の質の向上と均一化に着手したことは,正に時代の要望に則した対応であり,評価されるべき政策であると思う。しかし,どの様にして均てん化を行うかという大きな課題も残されていて,理想からはまだ程遠いのが現状である。
この様な実状と社会的要請に対応すべく,大腸癌治療の均てん化を目指して,大腸癌研究会の中に大腸癌治療ガイドライン作成委員会が設置されたのは2003年7月のことであった。本ガイドラインは,大腸癌治療に従事する医師を対象に,大腸癌治療の指針を示すものであるが,これによって,(1)大腸癌の標準的治療方針の提示,(2)施設間格差の解消,(3)過剰診療・治療,過小診療・治療の解消,などが可能になることを期待している。本ガイドラインは大腸癌研究会内の作成委員会と評価委員会の熱心な討議の末に出来上がったものであるが,今後のがん医療の変化に則して改訂を重ね,より良いものに変えていきたいと考えている。ガイドラインは多岐にわたる大腸癌に対する治療法のメニューを示したものであり,決して治療方針を限定しているものではないことも明記しておきたい。今後さらに,なるべく早い時期に一般向けのがんガイドラインを作成して,患者・医師の相互理解を深める一助にしたいと思っている。
本ガイドラインが大腸癌治療に携わる医師の日常診療に,少しでも役立つことを期待して止まない。
2005年6月30日

 

 
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