(旧版)科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン 2006年版

 
 
CQ4 外科的治療法


CQ4-4 膵癌に対して拡大リンパ節・神経叢郭清の意義はあるか?

【明日への提言】
わが国で行われたRCTの拡大手術は,大動脈周囲リンパ節,上腸間膜動脈および総肝動脈周囲神経叢の全周郭清という徹底した広範囲郭清であるにも関わらず,生存率は標準手術と同等であった(エビデンス参照)。最近,Mayo Clinicからも標準手術(D1郭清)vs. 拡大手術(D2郭清)のRCTの結果が第105回日本外科学会において発表されたが,結果はわが国のRCTと極めて似たものであった。この2つのRCTの結果から,現在,臨床的に経験する膵癌には肉眼根治が得られるような手術を行えばよく,徹底した神経叢郭清や大動脈周囲リンパ節を含む広範囲リンパ節郭清を行う拡大手術の意義はないと思われる。しかし将来,より早期の膵癌が発見,診断されるようになれば,そうした小さな膵癌にこそ拡大手術の意義があるかも知れない。また,わが国で追求されてきた後腹膜神経叢郭清の意義についても今後,検討する必要がある。

 

 
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