(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)
ガイドライン各論
CQ10 体圧分散用具
【CQ 10.4】
集中ケアを受ける患者にどのような体圧分散マットレスを使用すると褥瘡予防に有効か
【推奨文・推奨度】
集中ケアを受ける患者にどのような体圧分散マットレスを使用すると褥瘡予防に有効か
【推奨文・推奨度】
① | 低圧保持用エアマットレスを使用するよう勧められる。 [推奨度B] |
② | ローエアロスベッド,上敷圧切替型エアマットレス,交換静止型エアマットレスを使用してもよい。 [推奨度C1] |
【解説】
ICUまたはCCU入室患者など集中ケアを要する患者を対象に褥瘡発生率を比較した論文は国外のランダム化比較試験が5編1-5),国内のランダム化比較試験が4編6-9)であった。
国外の文献は,ローエアロスベッド,上敷圧切替型エアマットレス,上敷静止型エアマットレス,ウォーターマットレス,交換静止型エアマットレスの有効性に関するものであった。ローエアロスベッド1,2)は論文によって褥瘡予防効果に関する結果が異なっていた。上敷静止型エアマットレスおよびウォーターマットレスは対照マットレスと比較し有意差がなかった4)。交換静止型エアマットレスは対照群とくらべて有意に褥瘡発生率が低かったが5),わが国では有効性は支持されなかった7)。以上から推奨度C1とした。日本人を対象にした褥瘡発生率の比較試験で,上敷圧切替型エアマットレスの有効性を支持する報告が複数あった7-9)。その後,上敷圧切替型エアマットレス,上敷あるいは交換フォームマットレスを対照マットレスと比較した臨床比較試験が報告された6)。低圧保持用エアマットレスの褥瘡発生率(6%)は対照マットレスの発生率(28.0%)とくらべ有意に低かった(p<0.05)6)。以上から推奨度Bとした。
医療の進歩によりICUまたはCCUに入室する患者重症度が増し,褥瘡発生リスクも年々強まっていると考える。したがって治療環境の違いも考慮したうえで体圧分散マットレスを選択すべきである。
【文献】