(旧版)褥瘡予防・管理ガイドライン(第3版)

 
ガイドライン各論

CQ1 外用剤

【CQ 1.5】
びらん・浅い潰瘍にはどのような外用剤を用いたらよいか

【推奨文】
酸化亜鉛,ジメチルイソプロピルアズレンを用いてもよい。上皮形成促進を期待してアルプロスタジルアルファデクス,ブクラデシンナトリウム,リゾチーム塩酸塩を用いてもよい。

【推奨度】 C1

【解説】
びらん・浅い潰瘍への外用剤による治療に関してはエキスパートオピニオンのみである。びらん・浅い潰瘍に対する治療は創の保護および適度な湿潤環境の維持が重要であり,ドレッシング材の使用が主体となる。外用剤を用いる場合は,創面保護作用により創傷治癒を促進する白色ワセリンもしくはこれを基剤とするものが用いられる。酸化亜鉛は,白色ワセリンを基剤とし,作用は弱いものの局所収斂作用,保護作用および軽度の防腐作用を発揮することで炎症を抑えるとともに組織修復を促進する。ジメチルイソプロピルアズレンは白色ワセリンを基剤とし,抗炎症作用と浮腫抑制作用を有する1)とされるが,その作用は弱い。また,アルプロスタジルアルファデクスはプラスチベースを基剤とし,上皮形成促進作用と皮膚血流増加作用,血管新生促進作用により創傷治癒を促進する2)。血流改善作用が強い反面,局所の刺激作用がある。ブクラデシンナトリウムはマクロゴール基剤の特性から吸水性に優れるため,滲出液が多いときに使いやすい。創傷での潰瘍縮小・治癒促進作用による創傷収縮作用と,局所血流改善作用,血管新生促進作用,肉芽形成促進作用,表皮形成促進作用を有する。塩化リゾチームは乳剤性の基剤であり,創の収縮を期待して用いる。皮膚への刺激は少なく,表皮細胞の増殖促進作用と線維芽細胞の増殖促進作用を有する。
以上より,酸化亜鉛,ジメチルイソプロピルアズレン,また上皮形成促進を期待してアルプロスタジルアルファデクス,ブクラデシンナトリウム,リゾチーム塩酸塩を推奨度C1とした。

【文献】
1) 中村家政, 尾崎正若, 渡辺敏, ほか:Azulenの抗炎症作用について. 臨皮泌, 12(7):769-778, 1958.(レベルVI)
2) 今村貞夫, 相模成一郎, 石橋康正, ほか:G-511 軟膏の褥瘡・皮膚潰瘍に対する臨床試験塩化リゾチーム軟膏を対照とした電話法による無作為割付け比較試験. 臨医薬, 10(1):127-147, 1994(レベルII)


 

 
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