（旧版）褥瘡予防・管理ガイドライン

第2章　褥瘡の予防と発生後のケア

褥瘡の予防と発生後のケア Clinical Questions
褥瘡発生後のケア
2．体圧分散用具

CQ1	褥瘡（d1、d2、あるいはD3〜D5）の治癒促進には、どのような体圧分散用具を使用するとよいか

推奨

推奨度 A	D3〜D5褥瘡または複数部位の褥瘡の治癒促進には、空気流動型ベッドまたはローエアロスベッドの使用が強く勧められる。
推奨度 C1	d2以上の褥瘡の治癒促進には、上敷静止型エアマットレス、マット内圧自動調整機能付交換圧切替型エアマットレス、低圧保持用上敷エアマットレス、2層式エアマットレスを使用してもよい。
推奨度 C1	d1褥瘡の治癒促進には、上敷静止型エアマットレスを使用してもよい。

【エビデンスレベル】

特殊ベッドに関するシステマティック・レビュー3編^1，2，3、ランダム化比較試験4編^{4，5，6，7}があり、ステージIIIまたはIV褥瘡の有意な治癒促進を認め、エビデンスレベル I である。
上敷静止型エアマットレスに関するランダム化比較試験1編¹⁰があり、エビデンスレベルIIである。しかし対照群（ゲル）と比べステージ I の褥瘡治癒に有意差はなかった。
マット内圧自動調整機能付交換圧切替型エアマットレスに関するランダム化比較試験2編^8，9があり、エビデンスレベルIIである。しかし、対照群（交換圧切替型エアマットレス、上敷圧切替型エアマットレス）と比べグレードIIまたはIII以上の褥瘡治癒に有意差はなかった。
低圧保持用上敷エアマットレスに関する非ランダム化比較試験1編¹¹、2層式エアマットレスに関する非ランダム化比較試験は各1編¹²があり、対照群に比べステージII、III、IV褥瘡の有意な治癒促進を認め、エビデンスレベルIIIである。

【解説】

ステージIIからIV褥瘡の治癒評価は表皮欠損部分の面積を指標として行われる。一方、ステージ I 褥瘡の治癒の定義は明確ではなく、評価もなされていない。このためステージ I 褥瘡の治癒促進には、どのような体圧分散用具を使用したらよいか、に応える十分な文献がない。褥瘡が悪化し表皮欠損させないためには、早期から体圧分散マットレス使用が必須である。選択は予防に準じる。
国外では3つのシステマティック・レビューで、ステージIIIまたはIV褥瘡保有患者への特殊ベッド使用のエビデンスレベルが最高位になっている。しかし、国内においては、費用、管理の煩雑さ等から、特殊ベッドを使用する施設が限られている。

【参考文献】

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11.	真田弘美，須釜淳子，稲垣美智子，他．低圧保持用上敷き試作エアマットレスの使用評価．金沢大学医学部保健学科紀要．1997;21:45-9.
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