有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン
添付書類:エビデンステーブル
便潜血検査免疫法:直接的証拠(症例対照試験、地域相関研究)
文献 | 方法 | 著者 | 発表年 | AF | 研究 方法 |
検診方法 | 対象数 | 対象集団の特性 | 受診率 | 評価 指標 |
評価指標の把握 | 結果 |
25 | 免疫法 | Zappa M | 1997 | 1 | 症例対照研究 | Non-rehydrated Hemoccult(1982-1992)、rehydrated Hemoccult(1993-)。最近便潜血検査免疫法(HemeSelect) | 症例群:41歳以上の大腸がん死亡例206人(結腸がん115人、直腸がん86人,不明5人)対照群:症例群診断時生存者から性・年齢・居住地・居住歴で個別マッチした1,030人 | 41歳以上の大腸がん死亡例の大腸がん診断時平均年齢は62.6歳、女性42.6%。対照群の性比、平均年齢は症例と同じ。平均的リスク集団 | 1回 :症例群 16.0(%)対照群16.1(%)2回: 症例群 4.8(%)対照群8.6(%)3回以上 :症例群1.5(%) 対照群 3.9(%) | 大腸がんによる死亡リスク | munincipal residence archives(住民票)及び地域がん登録(1984年より整備)、死亡登録(1985年より整備)により把握 | 交絡要因(婚姻状況、教育レベル、出生地、職業、大腸がん死亡の家族歴)で調整した後の直近の検診受診の大腸がん死亡のオッズ比は、3年以内0.54、3-6年0.77、6年以上0.78 1度でも受診のオッズ比は0.6 |
47 | 免疫法 | Hiwatashi N | 1993 | 1 | 症例対照研究 | guaiac test(3日法)、RPHA、latex法(2日法または3日法) | 症例群:大腸がん死亡例 28人(男性12人、女性16人)対照群:性、年齢(3歳以内)、居住地でマッチングさせた84人 | 宮城県北部の13自治体、最初の検診時に45〜69歳。 | 症例群25(%) 対照群48(%) |
大腸がんによる死亡リスク | 保健師による調査、医療機関からの報告、死亡診断書からの調査、がん登録の調査 | 3年以内の検診受診歴があると、そうでない場合に比して76%死亡リスクを減少させることができる。(オッズ比0.24(95%CI, 0.08-0.76)) |
48 | 免疫法 | Saito H | 1995 | 1 | 症例対照研究 | 便潜血検査免疫法(1日法) | 症例群:大腸がん死亡者193例(結腸がん105例、直腸がん88例)。内174例が組織学的に確認できたがんであった。 対照群:性・年齢・住居地で個別にマッチした577例。 |
40〜79歳の地域住民 | FOBT受検率(5年間):症例群 3.6-18.9(%) 対照群 8.1-22.8(%) 精検受診率は不明 |
大腸がんによる死亡リスクの低減(オッズ比) | 死亡診断書とがん登録データにより把握。+診療録 | 大腸がん診断の1年以内、2年以内、3年以内の受診ありのオッズ比:0.40(95%CI、0.17-0.92)、0.41(95%CI、0.20-0.82)、0.48(95%CI、0.25-0.92) 最終受診から0-1年、1-2年以内、2-3年以内の受診ありのオッズ比:0.40(95%CI、0.17-0.92)、0.39(95%CI、0.12-1.33)、0.58(95%CI、0.16-2.07) |
49 | 免疫法 | Saito H | 2000 | 1 | 症例対照研究 | 便潜血検査(1980-84年は化学3日法の二段階法,1985年化学3日法の二段階法と免疫1日法,1986-93年は免疫1日法)による逐年検診 | 症例群:診断時年齢40歳以上の大腸がんによる死亡者51例(化学3日法の二段階法25例、免疫1日法28例.重複あり) 対照群:性・生年をマッチさせた152例(症例1例に対し対照3例が原則だが少ない場合もあり) |
40歳以上の男女どちらも含むが詳細不明(記載なし) | 1980-85年の化学法40.3%、1985-93年は免疫法42.5% | 大腸がんによる死亡リスクの低減(オッズ比) | 死亡診断書で症例候補を拾い上げ、診療録で組織診断または画像診断を見て症例を確定する。 | 解析はいわゆる直近の受診のみで行った。 1980-93年における化学3日法の二段階法と免疫1日法をまとめた検討では、診断前直近の検査が0-1年のオッズ比0.20(95%CI、0.08-0.49)、1-2年のオッズ比0.17(95%CI、0.04-0.75)、2-3年のオッズ比0.77(95%CI、0.13-4.56)、3-4年のオッズ比1.14(95%CI、0.10-12.66)と算出された。 1980-85年における化学3日法の二段階法では、診断前直近の検査が0-1年のオッズ比0.36(95%CI、0.11-1.17)、1-2年のオッズ比0、2-3年のオッズ比0.88(95%CI、0.08-10.26)、3-4年のオッズ比0と算出された。 1985-93年における免疫1日法の解析においては、1980-84年における化学3日法の受診の有無で調整したオッズ比を算出した.診断前直近の検査が0-1年のオッズ比0.19(95%CI、0.05-0.70)、1-2年のオッズ比0.56(95%CI、0.06-5.54)、2-3年のオッズ比0.63(95%CI、0.04-9.73)、3-4年のオッズ比2.89(95%CI、0.15-53.91)と算出された。 |
50 | 免疫法 | 黒石哲生 | 1999 | 1 | 時系列研究(および地域相関研究)。 | 便潜血検査免疫法 | 高率実施地区(278市町村)は、前期人口2,535,478人・前期大腸がん死亡2,905人、後期人口2,470,639人・後期大腸がん死亡3,284人。対照地区(556市町村)は、前期人口14,812,250人・前期大腸がん死亡14,890人、後期人口14,875,755人・後期大腸がん死亡18,545人。 | 全年齢の男女。 | 大腸がん死亡率(前期:1986-90年と後期:1991-95年) | 大腸がん検診の高率実施地区と対照地区における大腸がん死亡率の推移を比較。 | 1)高率実施地区の定義を受診率30%以上とした場合:全年齢の大腸がん調整死亡率は、高率実施地区で1.1%低下し、対照地区では6.5%上昇していた(p<0.01)。40-69歳の大腸がん調整死亡率は、高率実施地区で4.3%低下し、対照地区では8.0%上昇していた(p&0.01)。 2)高率実施地区の定義を受診率40%以上とした場合。全年齢の大腸がん調整死亡率は、高率実施地区で1.8%低下し、対照地区では4.2%上昇していた。40-69歳の大腸がん調整死亡率は、高率実施地区で2.7%低下し、対照地区では6.3%上昇していた。 |