(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

 
 
第XIII章 特殊な胆道炎


7. 先天性総胆管拡張症や膵管胆道合流異常に伴う急性胆道炎
Q126. 先天性総胆管拡張症や膵管胆道合流異常に伴う急性胆管炎の特徴は?

膵管胆道合流異常に伴う急性胆管炎は術前と術後とでは成因が異なる。(レベル4)。

膵管胆道合流異常に合併する急性胆管炎は,膵管胆道合流異常の初発症状としての急性胆管炎と手術後の急性胆管炎に大別できる。
膵管胆道合流異常の初発症状としての急性胆管炎の頻度は,総胆管結石を伴わない先天性胆道拡張症において9.2%〜23.4%であり,急性膵炎を合併するものも多い(レベル4)1,2)。 胆管炎の発症のメカニズムとして,膵液の胆管への逆流やprotein plugの乳頭部への陥頓があげられている(レベル4)3)。その他の症状としては,腹痛,嘔吐,黄疸,発熱がみられる。 小児においては,1歳以上の患児に関しては80%以上が腹痛を認めるものの,1歳未満の患児では,腹痛を主訴とするものは少なく,嘔吐,発熱,黄疸が診断の重要な手がかりとなる(レベル4〜5)4,5)
膵管胆道合流異常術後急性胆管炎については術後患者の8%〜30.0%に合併する(レベル4)6)。 術後の胆管炎や肝内結石の原因は胆管腸吻合部の狭窄と肝内胆管の先天的狭窄であると考えられている(レベル4)7,8)

術後胆管炎の合併率は高率であり,初回切除時の工夫が試みられている。(レベル4)。

これらを予防する目的で,手術時に左右の肝管を切り開き,形成して吻合口を広く取る術式や肝内胆管狭窄に対する胆管形成が推奨されている(レベル4〜5)6,8)

 

 
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