(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

 
 
第XIII章 特殊な胆道炎


3. 無石胆嚢炎
Q118. 超音波検査で無石胆嚢炎の診断は可能か?

無石胆嚢炎は既存疾患あるいは治療目的の鎮静に伴う意識障害を有することも多く,腹痛の訴えやMurphy's signなどの情報が得難いことなどから,その診断は必ずしも容易とはいえない。
Jeffreyらは臨床的に無石胆嚢炎が疑われた14例の検討から,初回検査時に正常な胆嚢壁厚(3mm以下)であり,かつ24時間以内の再検で壁の肥厚が4mm以上の場合は無石胆嚢炎の可能性が高い(4例中4例)。 初回検査時異常な壁肥厚を呈していても再検で変化が無いか壁厚が改善した場合は無石胆嚢炎の頻度は低い(6例中1例)としている(レベル4)56)。 さらにHelbich らはICU患者21症例に対し7日毎に超音波を施行,超音波所見上の胆嚢腫大(長径8cm,短径5cm以上),胆嚢壁肥厚(4mm以上),デブリエコーをそれぞれ2点とし,壁内の線状構造,胆嚢周囲に限局した液体貯留をそれぞれ1点とした場合,経過中5点以内を維持した症例では無石胆嚢炎はなく,6点を超えた症例ではその発生頻度は高率である(レベル4)57)
これらの報告から超音波による無石胆嚢炎の初期診断は必ずしも容易でなく,疑わしい場合には経時的な再検は大切である。

 

 
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