(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

 
 
第X章 急性胆嚢炎 -基本的治療-


2. 細菌学的検索と抗菌薬
Q96. 胆嚢壁移行性のよい抗菌薬は?

胆嚢炎の治療には抗菌薬が胆道,中でも炎症の場である胆嚢壁に移行することが重要である。 胆嚢壁移行性の良好な抗菌薬としては下記のような抗菌薬があげられる(表1)。 パニペネム・ベタミプロン(カルベニン®)は胆汁中移行はさほど良好ではないが,胆嚢壁への移行は比較的良好である33)。 なお,イミペネム・シラスタチン(チエナム®)は,他剤と比較すると胆道への移行はさほど良好ではないが,抗菌力に優れた薬剤であり起炎菌に対するMICが小さいため,常用量の投与で胆嚢壁濃度はMICを上回り,治療上十分な移行を示すと考えられる34)

表1 胆嚢壁移行性の良好な静注抗菌薬
ペニシリン系薬 ピペラシリン(ペントシリン®35),タゾバクタム/ピペラシリン(タゾシン®36),アンピシリン(ビクシリン®
セフェム系薬  
(第一世代) セファゾリン(セファメジン®37)
(第二世代) セフメタゾール(セフメタゾン®38),フロモキセフ(フルマリン®39),セフォチアム(パンスポリン®40)
(第三,四世代) セフォペラゾン/スルバクタム(スルペラゾン®41),セフトリアキソン(ロセフィン®42),セフタジジム(モダシン®43),セフピロム(プロアクト®44),セフォゾプラン(ファーストシン®45)
ニューキノロン系薬 シプロフロキサシン(シプロキサン®41),パズフロキサシン(パシル®46)
モノバクタム系薬 アズトレオナム(アザクタム®47)
カルバペネム系薬 メロペネム(メロペン®48),イミペネム・シラスタチン(チェナム®49),パニペネム・ベタミプロン(カルベニン®33),ビアペネム(オメガシン®
リンコマイシン系薬 クリンダマイシン(ダラシン-S®49)
 注:本邦で販売されている代表的な商品名も記載した。


 

 
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