(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン

 
 
第V章 急性胆管炎 -診断基準と重症度判定-


5. 鑑別診断
Q 41. 急性胆管炎と悪性疾患の鑑別に有用な検査は?(血液検査,画像診断の項も参照)

超音波検査(US)
胆管閉塞の原因検索における超音波検査(US)の正診率(感度)は49.5%と低いが,病因別の総胆管径の平均値(表9)は,鑑別診断の指標となり得る(レベル4)68)。 しかし,臨床的にはUSによる総胆管径のみで胆管閉塞の原因を鑑別することは困難であり,CTなど他の画像診断検査と併せて総合的に鑑別診断する必要がある。

表9 超音波検査による病因別の総胆管径の平均値(文献68) より引用改変)
    CBD size(mm) 
病因   N   Mean±SD
 Cholecystitis 23 8.7±1.7
 Duct stones 28 11.0±3.3
 Post cholecystectomy 44 9.5±2.6
 Pancreatitis 9 9.8±2.2
 Pancreatic carcinoma 26 14.0±2.8
 Lymph nodes 17 9.5±2.6
 Duodenal(duodenitis, ulcer, scarring) 7 8.4±1.0

CT
CTによる肝外胆管の壁肥厚の鑑別診断では,胆管の壁肥厚には4つのパターンがあり(表10),diffuse and concentric thickeningが急性胆管炎に特徴的である。 健常人の胆管の壁肥厚は全例が1.5mm以下であり,5mm以上の壁肥厚は胆管癌のみにみられる(レベル4)69)

表10 CTによる肝外胆管の壁肥厚の鑑別(文献69) より引用改変)
  Pattern of duct wall thickening
Disease Focal and concentric  Focal and eccentric  Diffuse and concentric  Diffuse and eccentric 
 Acute cholangitis 1/6 5/6
 CBD stone without cholangitis 6/9 2/9 1/9
 Neoplasms of bile ducts 9* /11
 PSC 2/6 3/6
 Oriental cholangiohepatitis 3/3
 Pancreatitis 7/7
 Pancreatic carcinoma 7/8 1/8
* thickening greater than 5mm

腫瘍マーカー
胆管炎と胆管癌との鑑別診断における血清および胆汁中CA19-9とCA125の測定では,胆管癌検出のsensitivityは血清CA19-9:61.11%,血清CA125:27.78%,specificityはCA19-9:72%,血清CA125:96%と血清CA125のspecificityが高く,胆汁中のCA19-9は胆管炎でも胆管癌でも高値となるが,胆汁中CA125が200ng/ml以上と高値の症例は胆管癌である(レベル4)36)
擦過細胞診
胆管狭窄症例406例に対して経乳頭的に行われた擦過細胞診では,腫瘍性病変の診断の感度は59.8%,特異度は98.1%とされている(レベル4)70)。また,擦過細胞診に免疫染色を付加することで感度を29%から43%に向上させることができる(特異度は100%)(レベル4)71)

 

 
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