(旧版)科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン
第III章 定義・病態と疫学
2. 成因,発生頻度
Q3. ERCP後急性胆道炎の発生頻度は?
急性胆管炎:0.5〜1.7%
急性胆嚢炎:0.2〜0.5%
急性胆嚢炎:0.2〜0.5%
内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP:endoscopic retrograde cholangiopancreatography)後の合併症の頻度は,報告年や合併症の定義により異なるが0.8%〜12.1%であり(レベル1b-4) 25,26,27,28,29,30,31,32,33),ERCP後の全体的な死亡率は0.5〜1.5%と報告されている(レベル4)28)。 最も多い合併症は急性膵炎であるが,その大半は軽症から中等症である。表3に,ERCPによる各種合併症の頻度と報告を示す。
ERCP後,急性胆嚢炎・胆管炎の発生頻度は,表3に示すように胆管炎0.5〜1.7%,胆嚢炎0.2〜0.5%である25,26,27,28,29)。 診断を目的に行われるERCPと,治療の手段として行われるERCPでは,合併症に差があり,治療的ERCPで胆管炎の発生頻度とともに,全合併症の発生頻度が高い傾向にある27,28,29,30)。
表3 ERCPによる合併症の報告
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近年,手技の普及と術者の技術向上に伴い,ERCP後の合併症は減少しているが,急性胆嚢炎の発生率は変わらず,その発生は予測不可である(レベル4)27)。