(旧版)高血圧治療ガイドライン2009
第7章 他疾患を合併する高血圧
POINT 7b |
【肥満】
- 肥満を伴う高血圧の降圧療法は,食事療法や運動療法による減量療法とともに薬物療法が行われる。降圧薬は代謝面での特徴から選択し,ARB,ACE阻害薬が勧められる。
3.肥満
肥満者における高血圧の頻度は非肥満者の2-3倍530)とされている。特に若年期からの体重増加が高血圧発症の重要な危険因子となる。肥満を伴う高血圧の成因に交感神経系,ナトリウム貯留/食塩感受性,インスリン抵抗性の関与が指摘されている。一方,肥満者では睡眠時無呼吸症候群を伴うこともあり,睡眠時無呼吸症候群が高血圧の発症や増悪の原因となることもある。
降圧療法にあたっては,肥満に併存しやすい心血管疾患の危険因子を改善させる。まず,食事療法や運動療法による減量が行われるが,減量指導後も降圧不十分なら薬物療法を導入する。降圧薬治療においては降圧目標達成を優先するが,糖代謝異常/インスリン抵抗性改善の面からはACE阻害薬,ARBが勧められる。本邦の大規模臨床試験であるCASE-J218)ではARBであるカンデサルタン群でアムロジピン群に比べて二次エンドポイントの糖尿病の新規発症は有意に低率であることが示されている。この抑制効果はサブ解析の結果ではあるが,BMI 25以上の肥満群で顕著であった。サイアザイド系利尿薬は常用量の半量であれば代謝への影響は少ない。肥満を伴う高血圧は治療抵抗性高血圧がまれでなく,そのような場合,サイアザイド系利尿薬は併用薬として有用である。
降圧療法にあたっては,肥満に併存しやすい心血管疾患の危険因子を改善させる。まず,食事療法や運動療法による減量が行われるが,減量指導後も降圧不十分なら薬物療法を導入する。降圧薬治療においては降圧目標達成を優先するが,糖代謝異常/インスリン抵抗性改善の面からはACE阻害薬,ARBが勧められる。本邦の大規模臨床試験であるCASE-J218)ではARBであるカンデサルタン群でアムロジピン群に比べて二次エンドポイントの糖尿病の新規発症は有意に低率であることが示されている。この抑制効果はサブ解析の結果ではあるが,BMI 25以上の肥満群で顕著であった。サイアザイド系利尿薬は常用量の半量であれば代謝への影響は少ない。肥満を伴う高血圧は治療抵抗性高血圧がまれでなく,そのような場合,サイアザイド系利尿薬は併用薬として有用である。