(旧版)高血圧治療ガイドライン2009
第6章 臓器障害を合併する高血圧
POINT 6b |
【冠動脈疾患】
- 冠動脈疾患では注意深く十分降圧することが重要である。原則として140/90mmHg未満を降圧目標とする。
- 心筋梗塞後の患者ではβ遮断薬,RA系阻害薬(ACE阻害薬,ARB),アルドステロン拮抗薬が死亡率を減少させ予後を改善する。慎重に130/80mmHg未満まで降圧することが望ましい。
- 器質的冠動脈狭窄を有し,狭心症を合併する高血圧では,長時間作用型Ca拮抗薬や内因性交感神経刺激作用のないβ遮断薬がよい適応となる。
- 冠攣縮性狭心症ではCa拮抗薬が適応。
【心不全】
- 心不全に対して,降圧薬は必ずしも降圧が目的ではなく,心不全患者のQOLや予後を改善するために用いられる。
- RA系阻害薬+β遮断薬+利尿薬の併用療法が心不全治療の標準的治療法であり,死亡率を減少させ予後を改善する。ただし,RA系阻害薬やβ遮断薬の導入にあたっては,心不全の悪化・低血圧・徐脈(β遮断薬)・腎機能低下などに注意しながら,少量から緩徐に注意深く漸増する。
- アルドステロン拮抗薬は,標準的治療を受けている重症心不全患者の予後をさらに改善させる。
- 心不全を合併する高血圧症では,十分な降圧治療が重要であり,降圧が不十分な場合には長時間作用型Ca拮抗薬を追加する。
【心肥大】
- 心肥大が退縮すると予後が改善することが示唆されている。
- どの降圧薬でも持続的かつ十分な降圧により肥大を退縮させる。特にRA系阻害薬,長時間作用型Ca拮抗薬は肥大退縮効果に優れている。
【心房細動(予防)】
- 高血圧は心房細動発症の危険因子である。RA系阻害薬を中心にした十分な降圧により心房細動発症が予防されることが示唆されている。
2.心疾患(表6-2)
心臓は高血圧の重要な標的臓器の一つである。収縮期および拡張期の圧負荷の増大により,心肥大・心筋間質の線維化などの心筋リモデリングや冠動脈内皮障害が生じ,加えて,脂質異常症,糖尿病,喫煙などの危険因子の併存と相まって,心筋虚血や冠動脈硬化症の危険性が増す。心筋リモデリングや冠動脈硬化の進展により,冠動脈疾患,心不全,不整脈,突然死が生ずる。したがって,心血管死亡率および心血管事故発症率を減少させるためには収縮期血圧を十分に下げることが重要となる85),217),218),328),371)。
表6-2.心疾患を合併する高血圧の治療
狭心症 |
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心筋梗塞後 |
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心不全 |
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心肥大 |
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心房細動(予防) |
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- *1適応例では冠インターベンションを行う
- *2収縮機能低下例では少量から開始し,慎重にゆっくりと増量する
1)冠動脈疾患
高血圧は冠動脈疾患の発症率を増加させるが,利尿薬やβ遮断薬を主体にした従来の降圧薬治療では,冠動脈疾患の発症率の減少はあまり大きくない372)。一方,降圧薬治療により脳卒中の発症頻度は著しく減少しており,冠動脈疾患のそれと差異が認められる。その理由としては,冠動脈疾患の発症には高血圧以外の危険因子の影響が相対的により大きい可能性がある。最近の研究により長時間作用型Ca拮抗薬やRA系阻害薬(ACE阻害薬,ARB)も冠動脈疾患の発症率を減少させることが示唆されている209),210),353),373)。さらに本邦における研究から,冠動脈疾患を有する患者において,RA系阻害薬や長時間作用型Ca拮抗薬を用いて十分に降圧すると心事故を予防しうることが示されている217),218),374),375)。
冠動脈疾患の発症や進展を抑制するためには,高血圧治療と同時に,その他の危険因子の治療が重要である。特にHMG-CoA還元酵素阻害薬による高LDLコレステロール血症の治療が,冠動脈疾患による心事故の一次および二次予防,特に後者に非常に有効であることが示されている376)。また少量のアスピリンや禁煙も効果がある159)。
冠動脈疾患を伴う高血圧における降圧目標についてエビデンスは十分ではないが,現時点ではACTIONやJMIC-Bなどから,少なくとも140/90mmHg未満を目安とする210),375)。ただし心筋梗塞の既往を有する高血圧患者は,冠動脈疾患を伴う高血圧のなかでも特に心血管イベントリスクが高いため,慎重に130/80mmHg未満まで降圧することが望ましい85)。冠動脈疾患を伴う高血圧では,あるレベル以下への降圧により拡張期冠灌流圧が低下し,心筋虚血をひき起こし予後が悪化する可能性(J型現象)も示唆されているが,いずれも後付け解析の結果であり377),378),いまだ証明されていない。
冠動脈疾患の発症や進展を抑制するためには,高血圧治療と同時に,その他の危険因子の治療が重要である。特にHMG-CoA還元酵素阻害薬による高LDLコレステロール血症の治療が,冠動脈疾患による心事故の一次および二次予防,特に後者に非常に有効であることが示されている376)。また少量のアスピリンや禁煙も効果がある159)。
冠動脈疾患を伴う高血圧における降圧目標についてエビデンスは十分ではないが,現時点ではACTIONやJMIC-Bなどから,少なくとも140/90mmHg未満を目安とする210),375)。ただし心筋梗塞の既往を有する高血圧患者は,冠動脈疾患を伴う高血圧のなかでも特に心血管イベントリスクが高いため,慎重に130/80mmHg未満まで降圧することが望ましい85)。冠動脈疾患を伴う高血圧では,あるレベル以下への降圧により拡張期冠灌流圧が低下し,心筋虚血をひき起こし予後が悪化する可能性(J型現象)も示唆されているが,いずれも後付け解析の結果であり377),378),いまだ証明されていない。
(1)狭心症
狭心症を合併する高血圧では,抗狭心症作用をもつCa拮抗薬とβ遮断薬が第一選択薬になる。狭心症の原因には冠動脈の高度狭窄と冠攣縮があり,両者がともに関与している場合も少なくない。冠攣縮による狭心症にはCa拮抗薬が著効するので,冠攣縮の関与が考えられる安静あるいは安定労作狭心症を合併する高血圧では,降圧薬としてCa拮抗薬が第一選択になる。一方,器質的冠動脈狭窄による労作狭心症には,β遮断薬とCa拮抗薬のどちらも有効である。本邦では冠攣縮が関与する狭心症の頻度が高く,β遮断薬は冠攣縮を増悪する可能性が示唆されているので,機序が不明な場合にはCa拮抗薬あるいはCa拮抗薬とβ遮断薬の併用が勧められる。
Ca拮抗薬のなかでは,どの薬物も抗狭心症薬として有効であるが,長時間作用型Ca拮抗薬が推奨される。その主な理由は,[1]降圧に伴う反射性頻脈が少ない,[2]狭心症発作の好発時間に合わせて投薬時間を考えなくてよいからである。短時間作用型Ca拮抗薬については,高度の冠動脈狭窄を有する患者では,急激な降圧や反射性頻脈が生ずると,心筋虚血が誘発される危険性がある。
β遮断薬の抗狭心症作用は主に徐脈作用によるので,抗狭心症薬としては内因性交感神経刺激作用のない薬物を選択する。抗狭心症効果についてはβ1選択薬と非選択薬間に大きな差異はない。また,β遮断薬単剤では降圧効果が弱いので379),380),降圧が不十分な場合には長時間作用型Ca拮抗薬やRA系阻害薬との併用が必要である。
高度の冠動脈狭窄による狭心症では,バイパス手術または経皮的冠動脈形成術が狭心痛に有効であり,いたずらに薬物だけに固執しない。
Ca拮抗薬のなかでは,どの薬物も抗狭心症薬として有効であるが,長時間作用型Ca拮抗薬が推奨される。その主な理由は,[1]降圧に伴う反射性頻脈が少ない,[2]狭心症発作の好発時間に合わせて投薬時間を考えなくてよいからである。短時間作用型Ca拮抗薬については,高度の冠動脈狭窄を有する患者では,急激な降圧や反射性頻脈が生ずると,心筋虚血が誘発される危険性がある。
β遮断薬の抗狭心症作用は主に徐脈作用によるので,抗狭心症薬としては内因性交感神経刺激作用のない薬物を選択する。抗狭心症効果についてはβ1選択薬と非選択薬間に大きな差異はない。また,β遮断薬単剤では降圧効果が弱いので379),380),降圧が不十分な場合には長時間作用型Ca拮抗薬やRA系阻害薬との併用が必要である。
高度の冠動脈狭窄による狭心症では,バイパス手術または経皮的冠動脈形成術が狭心痛に有効であり,いたずらに薬物だけに固執しない。
(2)心筋梗塞後
欧米における大規模臨床試験の成績では,内因性交感神経刺激作用のないβ遮断薬が陳旧性心筋梗塞患者の心筋梗塞再発や突然死を有意に抑制することが明らかにされている381),382)。本邦ではβ遮断薬の使用頻度が少ないが,その理由の一つは冠攣縮への危惧である。しかし,高度の器質的冠動脈病変を有する陳旧性心筋梗塞患者では,β遮断薬が選択薬の一つである。一方,短時間作用型Ca拮抗薬は心事故を増加させる可能性があるが,長時間作用型Ca拮抗薬は予後を悪化させることはない328)。また,ジルチアゼムが心不全のない非Q波梗塞患者の心筋梗塞再発を減少させたという成績がある383)。本邦の多数例の追跡観察研究でもβ遮断薬と長時間作用型Ca拮抗薬はともに心事故発生率を減少させたが375),384),385),短時間作用型Ca拮抗薬では悪化させる傾向がみられている386)。
広範な心筋梗塞により左室収縮機能が低下している患者(駆出率40%以下)では,RA系阻害薬により左室リモデリング(心室拡張,心筋肥大,間質線維化)が抑制され,その後の心不全や突然死の発生率が減少することが明らかにされている387),388)。心室リモデリングは心筋障害の進展,心不全の発生・増悪に非常に重要な役割を果たすことが示唆されている。ゆえに心筋梗塞により左室拡張や左室収縮機能不全がある患者ではRA系阻害薬がよい適応になる。また,心筋梗塞後の低心機能患者において,RA系阻害薬,β遮断薬,利尿薬にアルドステロン拮抗薬を追加投与すると予後がさらに改善することが報告されている316)。
広範な心筋梗塞により左室収縮機能が低下している患者(駆出率40%以下)では,RA系阻害薬により左室リモデリング(心室拡張,心筋肥大,間質線維化)が抑制され,その後の心不全や突然死の発生率が減少することが明らかにされている387),388)。心室リモデリングは心筋障害の進展,心不全の発生・増悪に非常に重要な役割を果たすことが示唆されている。ゆえに心筋梗塞により左室拡張や左室収縮機能不全がある患者ではRA系阻害薬がよい適応になる。また,心筋梗塞後の低心機能患者において,RA系阻害薬,β遮断薬,利尿薬にアルドステロン拮抗薬を追加投与すると予後がさらに改善することが報告されている316)。
2)心不全
欧米の疫学研究では,高血圧は心不全の基礎疾患として最も頻度が高いことが示されているが,本邦における登録研究でも同様の結果が示されている389)。また欧米の大規模臨床試験の成績では,降圧治療により高血圧患者における心不全発症率が減少することが明らかにされている390)。
心不全患者ではしばしば血圧が正常か低い症例が多い。したがって,心不全における降圧薬の使用は必ずしも降圧が目的ではなく,心不全患者のQOLや予後を改善することに主眼が置かれる。
心不全患者ではしばしば血圧が正常か低い症例が多い。したがって,心不全における降圧薬の使用は必ずしも降圧が目的ではなく,心不全患者のQOLや予後を改善することに主眼が置かれる。
(1)左室収縮機能不全による心不全
RA系阻害薬は心不全症状の有無にかかわらず,また左室機能障害の程度にかかわらず,慢性心不全および心筋梗塞後の長期予後を改善し,心不全による入院頻度を減少させる316),388),391),392),393),394),395),396)。少量より開始し慎重に漸増するβ遮断薬は,症状の有無にかかわらず左室機能障害を伴う心不全患者の予後を改善し入院頻度を減少させる382),397),398),399),400)。また,臓器うっ血の治療や予防には利尿薬を用いる。したがって,RA系阻害薬+β遮断薬+利尿薬の併用療法が心不全治療の標準的治療である401)。さらにアルドステロン拮抗薬は標準的治療を受けている重症心不全患者の予後をさらに改善させる315),316)。
大規模臨床試験で心不全の予後を改善することが示されているRA系阻害薬やβ遮断薬の投与量は,本邦の高血圧治療に用いられる投与量よりも多い。しかし,心不全ではRA系が活性化されているためRA系阻害薬の降圧効果が大きいので,少量(たとえば各剤型とも1/4-1/2錠)から開始し,低血圧や腎機能低下などの副作用がないことを確かめながら漸増する。また,β遮断薬は心不全の重症度にかかわらずRA系阻害薬を使用したうえでできるだけ導入を試みるべきであるが,心不全を増悪させるリスクがあるため,導入にあたっては細心の注意を要する。低心機能症例においては,ごく少量(高血圧治療の用量の1/8-1/4)から開始し,心不全,徐脈,低血圧がないことを確認しながらゆっくりと増量する。
左室収縮機能不全による心不全を合併する高血圧患者では,まず高血圧治療が重要である。すなわち心不全での左室収縮機能は後負荷に強く影響されるので,高血圧が左室収縮機能を抑制し,心不全を増悪させるからである。また高血圧は左室リモデリングを促進し,心筋障害を進展させるので,長期予後を改善するためにも高血圧治療が重要である。長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬は,心不全患者の予後を増悪させないことが明らかにされている328),402)。したがって,標準的心不全治療に用いる降圧薬で十分な降圧効果が得られない場合には,長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬を追加する。
大規模臨床試験で心不全の予後を改善することが示されているRA系阻害薬やβ遮断薬の投与量は,本邦の高血圧治療に用いられる投与量よりも多い。しかし,心不全ではRA系が活性化されているためRA系阻害薬の降圧効果が大きいので,少量(たとえば各剤型とも1/4-1/2錠)から開始し,低血圧や腎機能低下などの副作用がないことを確かめながら漸増する。また,β遮断薬は心不全の重症度にかかわらずRA系阻害薬を使用したうえでできるだけ導入を試みるべきであるが,心不全を増悪させるリスクがあるため,導入にあたっては細心の注意を要する。低心機能症例においては,ごく少量(高血圧治療の用量の1/8-1/4)から開始し,心不全,徐脈,低血圧がないことを確認しながらゆっくりと増量する。
左室収縮機能不全による心不全を合併する高血圧患者では,まず高血圧治療が重要である。すなわち心不全での左室収縮機能は後負荷に強く影響されるので,高血圧が左室収縮機能を抑制し,心不全を増悪させるからである。また高血圧は左室リモデリングを促進し,心筋障害を進展させるので,長期予後を改善するためにも高血圧治療が重要である。長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬は,心不全患者の予後を増悪させないことが明らかにされている328),402)。したがって,標準的心不全治療に用いる降圧薬で十分な降圧効果が得られない場合には,長時間作用型ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬を追加する。
(2)拡張機能不全による心不全
心不全による入院患者の半数近くにおいて,収縮機能は正常で拡張機能障害が心不全の主な病態であることが知られてきた。基礎疾患としては高血圧性心疾患が最も多く高齢者,特に女性に頻度が高い。高血圧性心疾患患者では,心肥大・心筋線維化によって早期から左室拡張機能の障害が認められる。したがって高血圧治療は心肥大・心筋線維化を軽減し,拡張機能障害を改善することが期待される。また,しばしば頻脈,特に心房細動が心不全の誘因となるため,その予防,適切な心拍数コントロールが重要である。また,潜在的冠動脈疾患による拡張障害の可能性も考慮する。拡張不全による心不全の治療については報告はあまりないが,ARBは収縮能が保たれた心不全患者の入院頻度を減少させる396)。
3)心肥大
心肥大は圧負荷の結果生じ,持続的な降圧治療によって退縮することが多い。疫学研究により心肥大は高血圧患者の予後を規定する独立の要因の一つであることが明らかにされており,心肥大を合併する患者では,死亡率,冠動脈疾患による心事故や心不全の発症率が高い403)。高血圧治療によって心肥大が退縮した患者群では,退縮がみられなかった患者群に比して,心事故や突然死の発生率が減少する404),405)。心肥大の要因として収縮期血圧,拡張期血圧がともに関与するので,治療に際しては両者のコントロールが必要である。
心肥大の退縮効果を各降圧薬間で直接比較した成績は少ないが,多数の臨床成績を集めたメタ解析ではRA系阻害薬と長時間作用型Ca拮抗薬の効果が最も大きいと報告されている406)。アルドステロン拮抗薬をACE阻害薬あるいはARBと併用することでより顕著な心肥大退縮効果が認められるという本邦における報告もある407),408)。しかし,心肥大の退縮に最も重要なことは十分な降圧であり,現在第一選択薬として汎用されているどの降圧薬でも持続的な降圧により心肥大を退縮させることが期待できる409)。
心肥大の退縮効果を各降圧薬間で直接比較した成績は少ないが,多数の臨床成績を集めたメタ解析ではRA系阻害薬と長時間作用型Ca拮抗薬の効果が最も大きいと報告されている406)。アルドステロン拮抗薬をACE阻害薬あるいはARBと併用することでより顕著な心肥大退縮効果が認められるという本邦における報告もある407),408)。しかし,心肥大の退縮に最も重要なことは十分な降圧であり,現在第一選択薬として汎用されているどの降圧薬でも持続的な降圧により心肥大を退縮させることが期待できる409)。
4)心房細動(予防)
心房細動は心原性脳塞栓症のリスクを著明に増加させるため,心血管事故発症率・死亡率が約2-5倍に増大する410),411)。高血圧は心房細動発症の最も重要な危険因子である412)。特に左室肥大と左房拡大が心房細動新規発症の独立した危険因子である。降圧治療によって左室肥大が退縮すると心房細動発症が減少する413)。また,高血圧は慢性心房細動患者における脳卒中や動脈塞栓症のリスクをも増大させるため,慢性心房細動患者における血圧管理が重要である414),415)。
最近,多くの大規模臨床試験より,RA系阻害薬が心房細動新規発症を予防することが報告されている416),417)。また,RA系阻害薬は発作性心房細動を合併した心不全患者において心房細動発作頻度を減少させることが示されている418)。本邦においてACE阻害薬が発作性心房細動から慢性心房細動への移行率を減少させたという報告もある419)。したがって高血圧症例,特に左室肥大や左房拡大を伴う症例では,心房細動の予防の観点からRA系阻害薬を中心とした十分な降圧が勧められる420)。
最近,多くの大規模臨床試験より,RA系阻害薬が心房細動新規発症を予防することが報告されている416),417)。また,RA系阻害薬は発作性心房細動を合併した心不全患者において心房細動発作頻度を減少させることが示されている418)。本邦においてACE阻害薬が発作性心房細動から慢性心房細動への移行率を減少させたという報告もある419)。したがって高血圧症例,特に左室肥大や左房拡大を伴う症例では,心房細動の予防の観点からRA系阻害薬を中心とした十分な降圧が勧められる420)。