(旧版)高血圧治療ガイドライン2009

 
第4章 生活習慣の修正


6.禁煙

喫煙は一過性の血圧上昇をひき起こす。その持続は紙巻きタバコ1本を吸った場合,15分以上276)といわれ,ヘビースモーカーは高い血圧値が持続する可能性がある。実際,喫煙者は日中自由行動下血圧が上昇しているという報告277)や,喫煙は仮面高血圧を生じやすいという報告もある278)。しかし,一般に喫煙者は非喫煙者に比べ肥満度の平均値が低く,血圧値も低い。したがって,最近の一部の研究では喫煙の高血圧発症への影響も指摘されているものの279),喫煙の血圧への慢性的な影響の評価は確立されてはいない251)。なお,喫煙は腎血管性高血圧のリスクとして知られている280)
喫煙は癌などの非循環器疾患のみならず,虚血性心疾患や脳卒中などの強力な危険因子であり,喫煙はメタボリックシンドロームと関係しているという報告がある281)。その害は喫煙者本人のみならず,受動喫煙によって周囲の非喫煙者にも及ぶ。禁煙は心血管リスクを抱えている高血圧患者はもとより,健常者に対しても推奨すべきである。世界保健機関(WHO)では「たばこ規制枠組み条約」を採択し,本邦も2004年にこの条約を批准した。このことにより,国と各種団体による禁煙活動が推進されており,日本高血圧学会も2007年に禁煙宣言を発表し,その推進に努めている282)。喫煙者には繰り返し禁煙指導を行い,必要に応じて禁煙補助薬なども考慮し,禁煙を推進すべきである。

 

 
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