(旧版)高血圧治療ガイドライン2004
第11章 二次性高血圧 |
2)腎血管性高血圧
b 確定診断のための検査
腎動脈に狭窄があること(形態学的診断)と、狭窄によってRA系が亢進し、高血圧の原因となっているのを確認すること(機能的診断)が必要である。
スクリーニングとして、形態学的検査では非侵襲的な超音波検査が有用で、左右腎の大きさの比較、ドプラーによる腎血流の評価が可能である。機能的検査では、基礎値のレニン活性上昇とカプトプリル投与後の過剰反応の検出(カプトプリル試験)が有用である442)。カプトプリル投与により血圧が低下する例では、血行再建後の血圧低下が期待できる。ACE阻害薬でアンジオテンシンIIの産生を遮断すると、健側腎に比べて狭窄側の虚血腎の糸球体濾過値および腎機能が低下する。ACE阻害薬投与前後を比較してこの虚血腎の機能低下を腎シンチ・スキャンで検出する検査法は、血行再建後の降圧度の予測に有用であるが、腎不全があると正確度が低下する443,444)。超音波で腎動脈を検知し、ドプラー法で狭窄部位の血流速度を検出する超音波ドプラー二重法は、血行力学的な狭窄度の計算が可能であり、腎不全でも使用でき、両側性狭窄や完全閉塞の診断が可能である445)。また、腎動脈抵抗係数を求めることで、治療効果を予測できる可能性がある446)。
最近のメタアナリシス447)によると、腎血管性高血圧の診断には造影CTによる血管造影、またはガドリニウム投与による三次元磁気共鳴血管造影(MRA)の有効性が高い。腎血管性高血圧の可能性がある症例には、腎機能障害を勘案して、いずれかの検査を行うことが望ましい。治療のためには詳細な腎血管の評価が必要であり、最終的に大動脈造影や選択的腎動脈造影が不可欠である。併せて、左右腎静脈血中のレニン活性測定を行い、一側が対側の1.5倍以上高い場合は、高値側に有意な狭窄があると判断される。