(旧版)高血圧治療ガイドライン2004

 
第10章 小児の高血圧


6)降圧薬治療

本邦の青少年を対象に降圧薬治療を検討した報告はないが、臓器障害を合併している場合や非薬物治療後も血圧が基準値を超えている場合は、降圧薬治療を開始する。臓器障害は左室肥大が多いため、心電図や心エコーで確認する。
降圧薬の選択はACE阻害薬やCa拮抗薬を中心に成人に準ずる。
本邦で一定数以上の小児を対象に投与量を検討した研究は、腎疾患児に対するニフェジピンの報告だけである412)。この研究では0.2mg/kg/日から開始し、効果の得られた平均投与量は0.5mg/kg/日であった。小児に対する薬物投与量は一般に体表面積から算出され、ほとんどの薬物は7歳児の投与量が成人の約半量になる。しかし、降圧薬はさらに少ない量から開始し、血圧の推移を十分に観察しながら投与量を調節した方がよい。また、妊娠している女性や性的行動が活発な10代女性には、胎児への影響からARBおよびACE阻害薬は禁忌である。
降圧薬を開始すると、生涯続ける必要があるのではないかと家族は不安になりがちである。しかし、思春期に一過性にのみ血圧が上昇し、治療を中断しても正常血圧が長期間続く例も存在する413)。したがって、投薬開始半年〜1年後に投与量を徐々に減量してみてもよいが、長期的には将来、高血圧を発症しやすいといえるので、いずれにせよ定期的な血圧測定は継続した方がよい。
 
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