(旧版)高血圧治療ガイドライン2004
第9章 特殊条件下高血圧 |
まとめ
【難治性高血圧】
1) | 難治性高血圧では、肥満、睡眠時無呼吸症候群の合併、白衣高血圧、服薬継続の不良、種々の原因による体液量過多、降圧薬の不適切な選択や他薬使用による降圧効果の減弱などをまず考える。 |
2) | 適切な処置を行ってもなお、降圧しないときには、二次性高血圧の可能性があり、高血圧専門家の意見を求める。 |
【高血圧緊急症および切迫症】
1) | 高血圧性脳症や急性大動脈解離を合併した高血圧、肺水腫を伴う高血圧性左心不全、重症高血圧を伴う急性心筋梗塞や不安定狭心症、褐色細胞腫クリーゼ、子癇、加速型高血圧-悪性高血圧などは、直ちにあるいは数時間以内に降圧治療を開始する。また、高血圧専門家のいる施設に治療を依頼することが望ましい。ニフェジピンカプセルの舌下投与などによる急激な降圧は行わない。 |
2) | 血圧が高くても臓器障害の進行を認めない血圧上昇に対する緊急の降圧は、原則として必要ない。 |
【外科手術前後の血圧管理】
1) | 高血圧患者の周術期合併症の発症予防には、高血圧性臓器障害・合併症を把握するとともに、手術当日朝の内服も含めて、周術期を通じて降圧薬療法を継続・維持し、血圧のコントロールを図る。 |
2) | 虚血性心疾患のリスクの高い者にはβ遮断薬が有用である。 |
3) | 疼痛、不安や興奮などの除去も血圧上昇を抑える上で重要である。 |
【女性の高血圧】
1) | 妊娠20週以後に出現した高血圧(140/90mmHg以上)を妊娠高血圧と定義する。 |
2) | 妊娠高血圧の治療は降圧薬治療を主体とする。主たる降圧薬は、メチルドパ、ヒドララジンであるが、最近はCa拮抗薬も用いられるようになっている。ARBとACE阻害薬は禁忌である。 |
3) | 経口避妊薬やホルモン補充療法により血圧の上昇をみることがあり、注意が必要である。 |
4) | 閉経期を含む女性の高血圧は男性とは異なる可能性があり、今後の検討課題である。 |