(旧版)高血圧治療ガイドライン2004
第6章 臓器障害を合併する高血圧 |
3)腎疾患
c 生活習慣の修正
末期腎不全や蛋白尿の発症に肥満が関与し、減量により尿蛋白が減少すると報告されている261,262)。また、喫煙は尿蛋白および腎機能低下に悪影響を及ぼすことが、糖尿病性および非糖尿病性腎症で報告されている263)。慢性腎疾患患者は心血管病死の危険が高いことを考えると、適正な体重の維持と禁煙が重要である。
血圧の管理と腎機能障害の進展を抑制するのに食塩摂取制限と蛋白摂取制限が重要である151)。腎疾患を伴う高血圧患者では食塩感受性が亢進していることが多いので、減塩の降圧効果が特に期待できる。減塩によりACE阻害薬やARBの尿蛋白減少作用が増強される。食塩摂取制限は保存期慢性腎不全では6g/日以下とし、難治性の高血圧や浮腫を合併する例では4〜5g/日以下を目標とする。蛋白摂取制限により腎不全進展や死亡の相対リスクが減少することが示されている264)。クレアチニンクリアランス(Ccr)70ml/分以下では0.6〜0.7g/kg理想体重/日の蛋白制限を行う。Ccr 30ml/分以下では0.4〜0.5g/kg理想体重/日がよいとする報告がある。
腎不全を伴う症例では腎血流量を低下させるような激しい運動や過労は避けるべきであり、運動療法の適応に関しても注意が必要である151)。